「席、替わってよ。」





なんて言った後、 さん (いきなりこんな風に呼ぶのってなんだか群れてるみたいで変な感じだ。でもかといって呼び捨てじゃ不躾な感じがするのだから救いようがない。) は狼狽したのか、無表情のままで数秒間僕の方を見た。
その後うろうろと目を泳がせると「席替えをしたいんなら、あたしじゃなくて担任に交渉してください。」と言った。
なるほど。と僕は納得すると彼女と話す意味と、この場にいる意味を見失ったから、 (まぁ元々どちらも気紛れで行った行為なわけだから意味なんてないに均しいんだろうけど。) 「ありがとう」とだけ言って僕はこの場を去ることにした。
その瞬間、さわやかな風が窓から入ってきて僕に無性にバイクに乗りたい気にさせた。
そう思うが早いか僕は窓から下へと降りるとバイクの場所へと向かう。
何気なく上を見上げると空は薄暗い青い色をしている。かろうじて西の方には黄色とかオレンジみたいな色が残っている。
お気に入りのカタナに跨がった所で今日に限ってキーを鞄の中に入れていたことを思い出した。





これはバイクに今は乗るなということなんだろうか……?





こんなしょうもないことを忘れるなんて僕らしくない。
僕は自嘲すると「ついでに担任に席を替えるように言うか。」と考えた後、ゆっくりと荷物を取りに応接室へと向かった。






























応接室まで行く途中、職員室の近くを通ると、 さんがプリントを持って職員室に入っていくのが目に入った。 まだまだたくさんの問題が残っていたように僕には見えたけどな、なんて思いながら僕はその場を通り過ぎた。










荷物だけ取って職員室に入り担任を見つける。当然のことながら さんはいない。 まぁプリント渡すだけなんだから当然か……。と内心呟いてから担任に話し掛ける。





「ねぇ、僕の席、左隣りと入れ換えてくれない?」





当然僕の願いは聞き入れられて、僕は気分よく学校を出る。
カタナに跨がってから今更ながら僕が なる人物に興味を抱いていることに気付いた。





「(僕が……彼女のことを目で追っていた……?)」





なんだか、鳩尾の辺りがもやもやして変な気分になってきた。
不思議なことに嫌な気分ではなかった 普段の僕ならないことのはずなのに。





けれども僕はその思いを振り払った。
僕はそんな感情に振り回される人間じゃない。










She stirs up my emotion?










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