いつもなら学校に着いたら応接室にこもりっきりで風紀委員の仕事をこなしたり何なりして1日を過ごすのだけど、 折角昨日のことがあったのだから、と思い、今日の僕は教室へと向かうことに決めた。 教室に着くと、どうやら僕は早く着き過ぎたらしく (まぁ、まだ始業のチャイムより30分以上早いのだから、当然のことだと言えるのかもしれないが……。) まだ誰も着いていなかった。 僕だけしかいない、静かな空間はまだほんの少しだけれども、夜の雰囲気をうっすらと残していて、 嫌いじゃないといえばそうなのだが、どことなく学校の、授業を行う場所としてはふさわしくないような気がして、僕はどうすべきか思案する。 とりあえず僕は荷物を机の横に掛けてから、カーテンを開けた。 朝日が一斉に瞳に飛び込んできて、まぶしい。 僕は思わず目を細めた。 ついでに窓を開けるとほんの少し冷たく感じる風が教室に満ちた。 風が頬を撫でる感触が心地いい。 あぁ、これが学校の朝だ。と僕はもう長い間学校に在籍しているというのに、初めてそう思えた気がした。 ジャメビュ、だとしたら少し哀しいな。 こんなにもステキだと思えるようなことを今まで見逃していたってことなんだから。 僕が感傷に浸っている間に、クラスの草食動物たちはいつの間にか学校に来ていたらしく、教室の外はいつの間にか騒がしくなっていた。 入ってくればいいのに、彼らはいつまでも廊下をウロウロするばかりだ。 (そういう態度、行動が僕を余計に苛立たせる、ということが彼らには理解できないのだろうか……?) 10人以上そんな奴らがいる。 僕は彼らの方を1度だけにらみつけるとかばんの中から読みかけの文庫本を取り出す。『罪と罰』 全く……。 僕はうっかり口に出してしまいそうになる。 君たちのためにあるものだよ。 ホームルームをうながすチャイムが鳴ると、担任が現れて、廊下から教室の中に入ろうとしない連中を手間取りながらも無理やり教室に押し込めた。 出席を取る段階になってからようやく僕の存在に気付いたのか、(つくづく鈍感な奴だ)一瞬驚いた顔でこっちを見たが、 取り繕うみたいに 僕が、さっきからずっと気にしていた僕の右の席を指差して。 「 はどうした?」と聞いた。 誰からも返事がないとわかると彼はホームルームの終了を告げた。 しかしそれとほぼ同時にドアが開き、 さんは姿を見せた。 担任は「遅いぞ、 。」とだけ言うと、 さんの横を通り過ぎていく。 彼女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後、教室に入ってきた。 途端に友人と思われる女生徒に彼女は絡まれた。 じゃれているみたいにも見えて、僕はなんだかそれがこっぱずかしくて目を背けた。 視界には薄水色の世界が広がる。 変に静かな教室内で異質な楽しそうな声を2人はあげていて、当然僕の耳にそれは届く。 こっそり僕が2人の方を見ると、 さんは困っているともなんとも言えない表情でこっちを見ていた。 な、何。 |