退屈だ、とわかりきっていたから、僕は自分の教室には今日まで一度も行ったことがなかった。 そもそも、どうせ授業なんて出てみてもわかりきっていることを教師がだらだらとしゃべり続けるのを聞く羽目になるに決まっているし、 何よりも僕には風紀委員長として、この並盛の秩序を守っていくという重要な仕事がある。 スカートの丈を注意したりだとかネクタイの緩い奴のネクタイを窒息するまで締めなおしてやるだとか ボクに楯突く奴や群れてる草食動物を潰したり噛み殺したりしなきゃいけないわけだし……。
まぁ多忙な上に授業の内容なんてわかりきってる僕には、教室に行く必要性なんてまるでなかったわけだ。全く。
だけど僕はほかの人よりもほんの少しばかり気紛れな人間だからか、今日はなぜだか自分の教室に行きたい気分になった。 きっかけがあったわけでもないし、誰かに行くようにいわれたわけでもないんだけど、ただ突然行きたくなった。 (もっとも誰かが僕に向かって、自分の教室に行くように、なんて指図したら、 もう二度と教室に入らないだけじゃ済まされなくって、またいつものようにそんな奴は噛み殺してやるけどね。 群れる草食動物よりもはるかに重い罪だ。 こんな生ぬるいのでいいのかほんの一瞬だけ迷ったけれど、こんなくだらないことをこれ以上考えるのはめんどくさいからやめてしまった。)
別に文句ないだろう……?
普通の人間はみんな教室に詰め込まれているべきなんだし。 普段の僕が教室に行かなくてもいいということが、そもそも僕が特別な人間だからだ。
いろいろ頭の中で御託を並べたけれど、それももうめんどくさくなって僕は立ち上がる。 ふぁーっと、のびとあくびを同時にした後、僕は僕の城である応接室を出た。






























放課後の廊下というのは歩いていてもほとんど人が視界に入らないからか、気分が楽だ。 イコール群れている奴がいないということに繋がるからだろう。
それでも何人かの人間にはすれ違う。 暇なのか残されているのかはわからないし、そもそもそんなことどうだっていいんだけど、僕のいい気分を害した罪は重いからとりあえず殴っとこうと思う。 けどそれは無駄なことをいちいち考えたせいで手を出し遅れて、僕がかまえた頃にはもう奴らはすいません!!と言って階段の下へと消えた。 1日が終わろうとしている時刻に刻々と近付いている時刻に草食動物を追いかけるのは面倒だと思ったし、 何よりもわざわざ追いかけるほどのものでもないと思ったから放っておいた。
始末するのはまた今度、覚えていてかつそういう気分になった時に噛み殺せばいい。




















意外にも考え事をしているうちに教室へ着いてしまった。 正直僕は廊下を歩いているうちに気が変わって誰かを始末しに行きたくなるかとも思ったけれど、そんな気分は珍しく訪れなかった。
教室のドアを開けるとそこには窓際の1番後ろという最もいい席に女がたった1人、座って居た。






























夕闇に浮かび上がる彼女を僕は不覚にも綺麗だと思った。










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