退屈だなぁと前後左右どこの隣の席の奴でも聞こえないような小さな声で呟いてから、窓の外にずっと続いている空を見上げる。
空はただひたすら青い。昨日大雨が降ったとは思えないほどだ。 遠くの方に白くて薄い雲がわずかにかかっているけれども、それを除けば空は一面青い。
……とここまで言ってからあたしは訂正を入れる。
正確に言えばあたしの席は窓際の1番後ろっていう特等席なわけだから、あたしが先ほど「退屈だなぁ」と呟いた声は 隣の奴に聞こえる最大人数は前に1人、右隣に1人の2人なわけだ。 しかも右隣の奴が席に着いているのをあたしは残念ながら見たことがない。 (……いや、残念なんて少っしも思ってないわけだけど。むしろありがたく思っているし。)
だから休み時間になると友達はあたしの籍の周りに集まって談笑をする習慣があるんだ。










も恋の1つでもすればいいんだよ。










そんなことばかり考えているからかは定かではないけれど、友達の言葉を思い出した。
退屈から脱却するには非日常みたいな日常に飛び込むのが1番だ、と。
確かにそうなんだけど、相手はどうするんだ、いったい。
そもそも恋ってやつはやろうと思ってやるもんじゃないだろう。
……話で聞く限り。
実は恥ずかしいことに(?)あたしは恋をしたことがないんだ!!










空から視線をはずし、教室を見渡してみても噂に聞く感じ (ex:ドキドキと脈が急に速くなる感じ、胸がきゅっと痛くなるetc…)は一向に訪れない。
やっぱりあたしに恋は訪れないのだろうか。
誰かがあたしを退屈の檻の中に押し込めようとしているような気がしてきた。
……ってそれはあたしか。
恋は自分でするものってさっき自分で言ったばかりだ。






























「…… 。」





誰かがあたしを読んでいる気がする。
あたしが恋する相手だといいな。





「…… 。」





そしてその人ならあたしを退屈から引っ張り出して。





「…… !!」



「……えっ?」





頭が一瞬フリーズするも、教員の怒った顔を見て状況を把握する。
やっぱりあたしに恋の相手なんていないんだ、と落胆してしまう。
端から見れば、きっと居眠りがバレてがっかりしているように見えただろう。





、お前は放課後に職員室の私の元に来なさい。課題を出す。」





あたしが頷く前に教員は再び授業に戻った。 黒板に白いチョークで数式が書き込まれ始めた。 クスクスと笑い声がどこからか聞こえてきてから数秒後、黄色いチョークで見たこと無い公式が書き込まれる。 それでもなお笑い声はやまない。 ほんの少し小さくなって、ペンの走る音に変わっただけだ。
が、そんなことどうでもいいと思えるほどあたしは恋が見つからないことに落胆していた。










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