オレはその日もいつもの様に城の中をウロウロしていた。 その日はいつか溶けて落ちて来るんじゃね?と思うほどに青い空が広がっていて、オレは庭に出たい気分になった。 ちょうど勉強の時間から逃げたトコだったし。 それで庭に出てみると、名前も知らねー様な花が大量に植えてある庭園?とかいう所はもう飽きたし、まだ行ったことなかった裏の方へ行ってみたんだよ。 そしたら、今まで兄以外に見たことなかったはずの、俺と同じ位の年の、オレよりも少し小っさい使用人の服を着た女がいた。 そしてその隣にはよく見かける使用人もいて、2人で洗濯物を干していた。 真っ白なシーツがパタパタとはためいていて、辺りにはほんのりと洗剤?石鹸?のやわらかい、いい香りが漂っていた。 しばらく2人が仕事をしているのを眺めていると、ようやく気付いた大人の女の使用人はオレを見て慌てて礼をした。 「こらっ、 。こちらが王子様だよ。あいさつしなさい。」 そう続けた後、無理矢理 にも頭を下げさせた。 「王子様、こんな所に何の御用でしょうか?」 卑下た笑いが気に入らなくて、オレはいつもよりも乱暴に「別に。」とだけ言った。 「それよりお前、名前は?」 「こいつは といいまして、王子様と同い年だそうです。 昨日孤児院から連れて来られた奴でして……。汚い奴なも 「あのさ、オレ、お前に聞いてないから。」 オレは大人の女の使用人を睨みつけた後、 に向き直った。 「お前、名前は?」 「 ……です。」 「ファミリーネームは?」 「ない、です。」 「何で?」 「……。」 「まぁいいや。それよりあっちでオレと遊べよ。」 庭園を指差しながらそう言ってオレが の新調の小さな、使用人の揃いの服の袖を引っ張ると、 はなぜかビクッと身体を震わせ、困ったような表情をした。 隣に突っ立っていた女の使用人は「まぁっ!!」と言った後「王子様!?そ、そんな……なりません!!」という金切り声を上げた。 はそれを見て更に困ったような表情をし、言葉を発した。か細い声で。 「ごめんなさい。王子様。」 オレは仕方なくその手を離して、そして城の中へ逃げる様に走っていった。 |