閑日月










あれは一体何歳のときのことだったかなんてもうとうの昔に忘れた。 オレにとってはあんまりにもくだらないことで、いつだったかを覚えているには取るに足らない出来事だったから。 でもまぁあえて言うんなら多分5歳やそこら位なんじゃないの? だってオレがまだとにかく本当に小さい頃で、まだ世の中のことだとか、自分の周りのこと、果ては自分のこともよくわからないままでいて、 ただただ遊びたいとだけ思っていた盛りなんだから。
でもそんなオレの邪魔をするみたいに、城にはカタブツの兄位しかオレには手ごろな遊び相手なんてもんはいないなんていうとにかく退屈なだけの毎日だった。 そう、とにかく退屈。今思い出しても吐きそうな位に。反吐が出るほど、平和。
オレはとにかく城の外に出たかったんだけれど、そんなこと当然許されない。まっ、当然だけど。だってオレ王子だし。 だから仕方なくオレは城の中っつーかむしろ庭とかもだから敷地内?を徘徊するだけの日々だった。 それはずっとずっと続いていて、「このままオレの身体はこんなウロウロするだけの日々を送るだけで身も朽ち、息絶えるのか……。」なんて思ってしまうほど。 オレはこのことを考えるたびにぞっとした。身の毛がよだった。



なんて高尚な王子!!



……なんて冗談はさておいて、そんな思いをオレは抱えていたわけだけど、 敷地内を徘徊している時間っていうのは”その頃”からすでにシアワセ?な時間だったわけだ。 なぜかというと、オレはあのゴキブリみたいなクソ兄貴の傍を一時離れられただけでシアワセだと思えていたから。
なんてシアワセなオレ。
まぁぶっちゃけシアワセだなんて微塵も思っていなかったけど。『マシなもの』位にしか思っていなかったけど。
でもまぁそんな思いがなけりゃ俺が毎日毎日何度も何度もそれこそ狂ったみたいに同じことばかりするはずがない。





え?オレは狂ってるって?は?マーモンてめー何言ってんだっつーの。
だってオレ王子だぜ。それも高尚な。
狂ってるなんて言わせない。





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