「今ならオレ、あのときのオレの気持ち、わかるんだよな……。」 「やけに感傷的だね、ベル。で、あのときの気持ちって何だい?」 「あぁ、今話したときの気持ちだよ。 と初めて出会ったときにさ、もう1人の使用人がさ、 のこと『汚い』っつったのを、 オレ、 のことなんて全然知らねーのにさ、何かすげームカついたんだよ。 あのときはいつものようにまた王子の気まぐれ、位にしか思ってなかったけど、今思えば……やっぱ言うのやめる。」 これはまだオレの心の中で未消化っつーか、わかっても、オレじゃとても言葉なんかじゃ、表現できない。 つーかこういうのってすげー大事なんじゃね?もしかして。 オレはむしろ言葉で表現しちゃいけないような気さえする。 「ちょっと、ベル。それはいくら何でも酷すぎやしないかい? 尻切れトンボもいい所だよ、全く。 そのくだらない話のために費やした僕の時間を金にして返してもらいたいね。 時は金なり、だよ、ベル。君、本当にわかってるわけ?」 ふにふにほっぺのガキが生意気な口を利く。 あーウゼー。 そのほっぺたつねってやろうか?なんて思うんだけど、王子、やさしーからな。と自分で自分を諌める。 つーかそれより金金言ってる赤ん坊ってどうなんだよ……。 「まだ話終わってないっつーの。 まっ、別に王子話したいわけじゃないし、マーモンが聞かないならそれはそれでいいけどさ。」 「いや、聞かせてもらうよ。」 全く調子のいいガキだ。 ちょこんとベッドの横にちゃっかり座ってやがる。 |