が必死になって守ったのだろうか……?
スクアーロの野郎は致命傷になった心臓への1発と右の肺への1発以外は驚くほど深い傷は少なかったらしい。 あったとしてもかすり傷位な物。
スクアーロはマフィアらしからぬひどくきれいなままでこの世から消えるらしい。






























雨はなんとか上がったものの相変わらず空はどんよりと曇っていて、 葬式はたたでさえ重苦しいもんだっつーのに、この天気のせいで余計に辛気臭くなっちまっている。
あんなカスでも部下には慕われていたらしく、何人も泣いているやつがいて、啜り泣きが絶えない。
けれど、その泣いている連中の中に、 の姿は、ない。






























ちゃんいなかったわね〜。」





ルッスーリアが訝る様な表情で言った。ベルとマーモンが「あー、スクアーロの彼女の?」とほぼ同時に聞いた。





「最後を看取ったのが彼女でしょう?さぞかし辛かったでしょうね〜。あの子、立ち直れるかしら〜?」



「さぁーなぁー……。あいつらもう少しで結婚するとか言ってなかったか?」



「あぁ。なんかそんなこともあったね。」



「そういえばレヴィ、一時期 ちゃんのこと好きだったでしょ〜? だからスクアーロと仲悪かったって専らの噂よん。実際どうなのかしら〜?」



「そっ、それはもう過去のことだ……!」



「あらそ〜。それは残ね



「お前ら不謹慎だぞ。慎め。」





違う。そんな理由じゃない。本当はただ不愉快で耐え難くなっただけだ。 何がオレをこうさせるのかなんてとてもわからないけれど、ただとにかく、辛い。





「ボスが怒っちまったろルッスーリア。」とベルが愚痴ったのを最後に、騒がしい連中が馬鹿みたく静かになっちまったから、 アジトまでの道のりは妙に長く感じられた。





途中でまた雨が降り始めた。騒がしいのは、連中のせいじゃなくて窓のせい。
オレは苛立ちが収まらずにいる。




















アジトに着くと連中は蜘蛛の子散らしたみたいに自室に戻ってしまった。
かくいうオレもそうすることにしたのだが……。
しかし物事というのは計画通りに進まないらしく、今回も狂わされた。
部屋に向かうための廊下を歩いていると、死んだはずのスクアーロの部屋から啜り泣く声が聞こえてきた。



薄気味悪い。



普段ならそう思うだろうが今日のオレは心臓を抉られたみたいな残酷な痛みを与えられた。 必然的にオレの苛立ちは高まって、オレは感情委せにドアを蹴り開けた。
バァンと何かが弾けた様な音をたてると中には案の定 がいて、スクアーロの遺品を片付けながら泣いていた。





「ボス……。すいませ、ん。お見苦し



「お前何で葬式来なかった。」



「汚かったからスペルビの部屋、整理しようと思ったんです……。」



「そんなの後でもいいだろう?」



「……。」





オレの問いに は答えず、俯いたまま泣きじゃくるばかり。
なんでなんでなんでこんな表情ばかりなんだ……?





「お前、来い。」





は何か言ったが、それは窓に打ち付ける雨がたてる音に掻き消されて、オレの耳には届かなかった。
オレは の腕を掴んで部屋から連れ出した。



墓石の前に立たせたい
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