40日以上あったはずの長いながぁい夏休みもついに残すところあと3日となりましたっ!! いやぁーそれにしても時の流れる速さというのは尋常じゃないですねぇ。驚きです。 気付いたらもうあと3日かよ。あはははははっ!! それにしても新学期とっても楽しみだなっ♪ 転校生なんか来ちゃったりなんかしちゃったりしてたらもうサイコーだねっ! 言うことナッシングのワックワク☆★新学期になっちゃうよ!! 早く新学期になればいいのにねー……ってんなわけねー!!そんなこと言ってる場合じゃねー!! 宿題っ!!そう宿題だ!! (国語の宿題にこんなのあったんだよ。釣りのハイパーせみおてぃくす??題名からしてすでに意味わからないって。) 学生の大敵はやはりあたしの目の前にも立ちはだかられてしまったわけです!それも通常よりもはるかに大きな壁として!! 助けて !!っていつものように優秀な友人……むしろ親友へ助けを求めるためにケータイを持った途端に重大なことに気付いちゃったのよ。 ったら明日までニュージーランド☆★なのっ!!海外なのっ!!羊さんの王国なのよっ!!ロード・オブ・ザ!!リングな感じになってるのよっ!! あのこったらほんと困るわぁ……。 (うん。まぁ忠告はされてたけどね。なんかこの展開読めちゃってたけどね。うん。運命に抗ってみたかったわけよ。……結局抗えなかったわけだけど。) 長電話 「……ってわけで君に白羽の矢が立ったわけだよ。綱吉君。」 「どういうわけだよ。」 しかも無駄に上から目線なんだな、教えを請う側なのに、という鋭い突っ込みはノータイムであたしの胸に突き刺さる。グサッ!! 「うん。ごめん。……まぁ噛み砕いて言っちゃうと……宿題、教えてほしいなぁ、みたいな?むしろ見せてほしいなぁ、みたいな?」 「聞くなよ。」 突き放したように言う綱吉。電話越しでも傷つくなぁ。綱吉なのに。綱吉だからか……? 「酷いな綱吉君。」 「 が”君”つけるとそれだけで気持ち悪いよ。」 「……綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君綱吉君 「あーもうわかったって。宿題教えればいいんだろっ!教えれば!!んで、どうすんだよ宿題。」 「……んー、で、できれば家に来てほしいなっ!!」 あたしがそう言うと綱吉は一瞬戸惑ったように絶句した。 その後に、やっぱ 態度でかいよ、普通は逆だろーと一気に言うと、はぁーっと溜息をついた。 ごめんねずぼらで。でもだって大量の宿題を持ってか弱い乙女が危険な並森を歩き回るっ!!て苛酷じゃない?……そうか苛酷じゃないか。 「……わかったわよ。行くわよ綱吉の家。行ってやろーじゃん。ななさんに会いたかったもん。この間のケーキのお礼してなかったもんねーだ。」 あたしがそう言うと綱吉がさっきより小さいんだけどまた溜息をついた。 「いいよいいよ。俺が行くから。 は家で宿題進めてろよ。それで、何もって行けばいいの?国語?それとも数学とか英語?」 「あっ……。じゃ、じゃあ、数学メインで全部オネガイシマス。」 「……。わかった。今すぐ行くから。」 「(絶対怒ってるよーっ!!)あ、ありがとー。」 「はいはい。んじゃ後で。」 そう言うと綱吉が電話を切ってしまった。あたしは途端になぜかドキドキしてきて受話器を持ったままでいる。 まるで手と受話器がくっついてしまったみたいに放せない。 後で、か……。 いつものあいさつなのに、なぜか響きがいつもと違って聞こえる。特別、な感じだ。 ……って何考えてんだあたしっ!! あたしは頭の中から綱吉を追い払おうとしたけれども追い払えない。 むしろ夏祭りのことが思い出されて、あの日の綱吉が浮かんできて……。 今思えば40日以上あったはずの長いながぁい夏休みだったはずなのに、はっきりと思い出せるのはあの夢のような日のたった1日だけしかないかもしれない。 とは言ってもその日があたしの一生分の幸せを凝縮したみたいな幸せで楽しい1日だったわけだけど。 かき氷の味もくじびきの期待感の後にやってくるはずれくじのがっかり感も、トロピカルジュースの極彩色も、 射的で打ち損じたときの悔しさも、やきそばやお好み焼きのチープな中にあるおいしさも、 そして何より金魚とともに手渡された綱吉の手の温かさも……鮮明に覚えてる。 ずっと忘れない。 そう思った後思い切って受話器を置いて部屋に戻る。 まだドキドキはおさまる気がしなかった。 窓辺に置いてある金魚鉢の中で真っ赤な金魚がはねた。 |