「山本!獄寺君!」 綱吉が2人を呼ぶと笑顔で2人は近づいてきた。 「十代目!こんなトコで会うなんて奇遇ですね!」 「ツナも祭来てたのなー!つか言ってた用事ってこれのことだったのな。」 山本君の言葉に困ったように綱吉は頷いた。 「それより2人は何かした?例えば射的とかさ。」 「あぁ。くじ引きしたのはいいんだけど、2人揃ってはずしちまったんだよ。」 そう言って山本君はポケットからストローに風船と羽がついたおもちゃを取り出した。派手なピンクのやつ。 安っぽくて、お祭りに行くと必ずと言っていいほど見かけるものだ。 それを山本君はぷーっと吹いた。 言葉にできないような音が響くと、獄寺君はうるせぇっ野球バカがっ!!と言って怒った。 彼はほんとに短気だ。ちょっと位は牛乳、飲めばいいのに。(絶対こいつ飲まないよ。くさいとか言ってそう。) 「悪ぃ悪ぃ。あっ、それから射的は今からやろうって2人で話してたんだよな。」 「そうなんすよ。あっ、さっきかき氷食ったんですけど、珍しいトコがあるんすよ。 ここを100メートル位歩いたトコにあって行列できてるんですけど。 そこ、シロップかけ放題なんです!!」 あぁ、あれなぁ。と山本君は言うとまた笑った。 「獄寺が欲張って全部のシロップかけたら真っ黒になっちまったやつなー。」 「うっせぇな野球バカ!!何も十代目の前で言わなくてもいいだろ!!」 綱吉はどこに突っ込んだらいいのかがわからなくてたじろいでいる。 綱吉。君はいつも非常に苦労しているんだね。実は。 周りがあんなにボケ要因ばっかりだったらそりゃ当然突っ込みレベルもどんどん上がるわ。 右肩上がりのうなぎ登りだよねまったく。 「あっ、じゃああたしもそれ食べたいかも。綱吉、いい?」 「あっ、うん。俺は別にどこでもいいし の行きたい所に行くよ。」 「じゅ、十代目……!!行かれるんですか?」 「お前何自分で勧めといて言ってんだよ、獄寺。 俺らはさっさと射的に行くぞ。勝った方がツナの右腕になるのな。」 何!?と言うと獄寺君は血相を変えた。思わず綱吉は苦笑い。 獄寺君は何でそんなにも単純なんだ。せっかく勉強ができてもバカだな、こいつ。 そんなに綱吉のことが好きなのか。 っていうかむしろ君、綱吉のこと本当に好きなんだね。ちょっとライバル心だ。 ってあれ?何でだよ。何で闘争心生まれてるんだよ。バカはあたしだ。今更だけど。 んじゃまた会えたらなーと山本君は最後に1度振り返って言った。 獄寺君のかき氷よっぽど酷かったんだね。南無。合掌。 「あっ!綱吉ぃ!これじゃない?」 そうみたいだねーと関心なさそうに綱吉は言った。 もうちょっと何か言ってくれればいいのに。意地悪綱吉め。 「綱吉はシロップどうする?あたし何かけよっかなぁ。 本当はいっぱいかけたいんだけど、全部かけたら獄寺君だね。」 「俺は普通にレモンでいいや。」 「うっわ綱吉ノリ悪すぎ。それってすっごくつまんないよ。どこにでもあるじゃん。」 「じゃあ はどうするんだよ。」 むすーっと言った綱吉にあたしはえへへ見てのお楽しみ、と言ってやった。あそ、とだけ綱吉は返した。 冷たいな、綱吉。かき氷だけに。 (はいはいすいません。つまんなくて。……ってもう言わないからお願い許して!もう石投げないでってばーっ!!) 「うっわ本当にやっちゃったよ。綱吉つまんねー!!」 「そう言う は3色じゃん。結局獄寺君とそんなに変わんないよ。」 「いいじゃん。あたしあいつと違ってシロップ黒くなってないもん。 ……っていうか3色じゃなくて4色だよ!」 「そんなのどっちも変わんないだろ。しかも結局境目黒くなってるし。」 綱吉きびしーとあたしがふざけて言うと、綱吉は早く食べろよ融けたら真っ黒だぞ、と言った。 ……確かにそうだ。 「それ、何かけたの?結局。」 見たら大体わかるけどさ、と言ってつまんないかき氷を綱吉は口に入れた。 よっぽど冷たく感じたのか、一瞬顔をしかめた。 「緑がメロンで青がブルーハワイでしょ、それから赤はイチゴ。 透明で綱吉のアホがわかんなかったのはみぞれでした。」 アホは余計だと言うと綱吉はもう1口食べた。 案の定あたしのかき氷はシロップのかけすぎであっという間に真っ黒な上にどろどろになってしまった。 「綱吉ぃー。融けちゃった。食べてよ。」 あたしは半ば冗談のつもりで言ったのに、だから言っただろしょうがないなぁと言って、 綱吉はあたしからカップを取り上げると中身を一気に流し込んだ。 甘っ、と渋い顔をした綱吉。 なぜかあたしは顔が熱くなった気がした。 たった今、かき氷、食べたばっかりなのに。 四色かき氷 |