家具よし。見晴らしよし。立地条件よし。更に教師の介入なし……。





「(まさに悪事働くためのアジトにピッタリ……。)」





明らかに健全な中学生だとは思えない奴ら (∵学ラン、チンピラ風の風貌、加えて内2名が時代錯誤のリーゼント(しかも明らかに幹部っぽい))が の周りには多数座っている。
最早 は先程から「委員会なんて早く済ませて帰りたい……。」しか考えていなかった。










ACT.7











委員長の雲雀さんの登場によって応接室内の空気は(今までもとても和やかとは言いがたい空気だったのに)更にピンと張りつめた物になった。
雲雀さんは周りの風紀委員とは明らかに異質。
端整な外見とかそんなのを言っているんじゃなくて、もっと根本的な、纏っている空気だとか、雰囲気から違った。





「これから委員会を始めるけど、その前に2−A。君、見ない顔だね。新入り? 風紀委員会はよっぽどのことがない限り入れ替わりってないはずだけど……。」





そう言うと雲雀は のことをキッと睨みつける。その眼は殺し屋の眼と似ていて 「あぁ……この人は何度もそういう場を経験しているんだ。」とツナから忠告を受けていた は確信した。





「あっ、はい。えぇっと、初めまして。 俺は今日この学校に転向してきたばっかの新入りで、学校の雰囲気に慣れるためにこの委員会に入りました。」



「ふーん。別に入った理由なんて聞いてないけど……。まぁいいや。君、名前は?」



「(嫌な奴だな……。) です。よろしくお願いします。」



「あっそ。じゃあ草壁、後のことは頼んだから。」





雲雀はそれだけ言うと応接室を出て行ってしまった。 以外の者は動揺する気配もなく、むしろいつも通り、という印象さえ は受けた。
淡々と、流動的に、委員長不在の委員会は進んでいった。




















「2−Aの 、だったか……?」





委員会も終わり、教室へ帰ろうとしていた所を呼び止められて は振り返った。そこには副委員長の草壁が立っていた。





「あ……はい。何か?」



「いや、別に大したことではないんだが、その……慣れない面も多いと思うがそういうときはいつでも俺に聞け。」





そう言って微笑んだ。その言葉を聴いて も微笑み返す。





「まぁ委員長の足元にも及ばん程度しか俺には力になれないが、学校生活なら問題はないはずだ。」



「……草壁副委員長は委員長のこと慕ってらっしゃるんですね。」



「あの人はすばらしい方だからな……。これから付き合っていくとあの人のよさが にもきっとわかる。」





そういって例の肩に手をポンと置いてから、草壁は「呼び止めてすまなかった。」と一言添えて部屋を出て行った。





「(ツナが気をつけろって言ったのはよくわかったけど、副委員長も外見はあんな感じでもすごくいい人だし……。雲雀さんももしかしたら……?)」





は帰路の間ずっと考えていたのだが、結局結論は出なかった。










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