「あっ……応接室の場所聞くの忘れた……。」





はそう呟き、ツナや武の元に戻ると、ちょうど2年A組に入ろうとしている男子がいた。










ACT.6











「あのー、悪いんだけど、応接室の場所教えてくれないかな?今日転向してきたばっかでわかんないんだ。」





普通に話しかけただけなのに、その男は「はぁっ!?応接室だぁ!?」と言っていきなり絡んできた。
……まぁその辺の不良というかチンピラ?という感じがしなくもない。





「オッス、獄寺。今日も遅刻か?もうとっくに授業終わってんぞ!」



「獄寺君ケンカはやめようよーっ!」





あたしがこの不良君に面食らっていると、武とツナが続け様に廊下に出てきた。 あたしが状況の変化に戸惑っているというのに、『ゴクデラ』と呼ばれた不良君は 「こんにちは!!十代目!!」と言って、ツナに深々と頭を下げた。





「(ボンゴレファミリーか、このゴクデラとかいう奴……。)」



「獄寺君、この子は今日転向してきた 君。俺の隣の席で友達なんだ。だからその……仲良くしよう?」



「じゅ……十代目がそうおっしゃるんなら……。」





ツナが現れた途端に態度が急変したゴクデラへの笑いを抑えつつ、 はツナに話しかけた。





「あのさ、お取り込み中の所悪いんだけど、応接室ってどこ?」



「……あーっ……応接室はこっちの廊下をまっすぐ行って、階段がそのつきあたりにあるからそれを昇ってくれたらすぐにわかると思うよ。」



「OKー。ありがと。」



「あっ、あと 君、ただね、委員長の雲雀さんには気をつけてね。」



「?あぁ、わかった。ありがとう、ツナ。」





ツナの意味深な言葉に疑問符を浮かべながらも、 はそういってから笑って手を振った。 ツナと武に挟まれながら獄寺は「なっ、テメ…… !!お前気安く十代目のこと『ツナ』なんて呼んでんじゃねー!!」とキレている。
あの忠誠心には感服するなー、と思って は思わず苦笑した。










ツナに言われたとおりに階段を上りながら は「あっ……。」とひらめきのあまり、思わず声を上げてしまった。





「あのゴクデラって『獄寺』じゃん。悪童・スモーキンボム。」





どのファミリーにも属さないでやりたい放題だとの噂だった奴をあんな忠誠心の塊みたいな奴にできたのかと思うと、 はツナのすごさを感じた。





「(すっごく普通の奴に見えるんだけど普通じゃないっていうか……むしろすっごく普通の普通じゃなさ……?)」





自分の考えていることのあまりの意味不明さに は再び苦笑した。
そしてもう少し、彼のことを知りたい、と興味を掻き立てられた。





「(まっその前に……目の前の仕事、かな?)」





たどり着いた応接室の前には学ランに『風紀委員』の腕章をつけたガラの悪い男たちがたむろしている。





「(確かに、来たらわかるわ……。)」





は男たちの視線を浴びながら、応接室へと入った。










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