空港はいつ来ても騒がしい。 せわしなく動き回る人たちは、幸せそうに家族や恋人と思われる人と一緒にいる人もいれば、 ビジネスなのだろうか……?真剣な顔をしたスーツ姿の人もいる。
いつもここにいるときは落ち着かないなぁと は1人愚痴る。










ACT.4











!!」





が振り返るとそこにはディーノがいた。 仕事の合間を縫ってきたのだろう。スーツ姿である。
学生時代のダメなディーノからは想像できないなぁ、と は思った。
子どものときは の方が年下にもかかわらず、運動も勉強も大抵のことは の方ができたから、 今のボスとして信頼されているディーノの姿を描くことは には出来なかったからだ。 (後になってからディーノが部下がいないと力を発揮できないタイプで、 学校に部下が来ていなかったからあんな姿を晒していたと聞いた日にはかなり驚いた。)





「見送りに……来てくれたの……?」



「当たり前だろ? のためなんだから。」





それに巻き込んじまったのはオレの方だし、と目を泳がせながらディーノは言った。





「仕事の途中でしょ?部下をほっといたらダメじゃない。」



「オレは自分の部下を信頼してるからな。それに仕事には言われなくてももうすぐ戻るよ。 大丈夫。ロマーリオが下でいつでも出発できるように車を回してくれてるしな。」



「……なら、いいんだけど……。」





ニカッと笑ってディーノは言う。
これだけ見ればあのときとなんら変わりはないなぁ、と はまた過去に思いをはせた。 無邪気な笑顔はいつも彼女を癒してきた。
そのときアナウンスが入った。 もディーノも注意して聞く。 それはやはりこれから が乗る便――日本行きへのアナウンスだった。
ディーノは思わず溜息をつく。





「それじゃああたしもう行くわ。」



「本当に……行くのか……?」





バイバイ、と手を振ろうとした だったがディーノの声に阻まれた。





「何……どうしたの……?いつものように仕事に行くだけじゃない。 それにディーノも最近日本に行ってるんでしょう?会おうと思えば会えるじゃない。」





今までも仕事でいくつも死線は越えてきた。何度も海外へも渡った。今更……?





「あっ……そうだな。うん。いや、何でもない。」





そうディーノが言ったのを確認すると はバイバイ、と今度こそ手を振った。 そしてゲートへと歩き始める……。





「1つ、いいことを教えといてやる。」





歩き出したかと思ったら、ディーノは を抱きすくめ、耳元でこう言った。





「何……?っていうかあたしたちもうこういう関係じゃないと思うんだけど……?」



「いいんだ。それでも。オレは今でも ……お前のことを愛しているから。」





何よそれ?と笑って が返すとディーノは苦笑した。 を抱きしめる腕の強さは少し強くなった。 はほんの少しだけその強さに驚いたが顔には出さない。





「お前、これから並盛に行くんだよな……?」



「そうよ。だからどうしたの……?」



「オレも最近日本に出向いているが、お前がこれから行く並盛に行ってるんだ。 そこにはリボーンがいる。ボンゴレの十代目の家庭教師として、だ。 組むかどうかはお前次第だが、悪くない相手だ。むしろ最高だろう。 だからいつでも苦しくなったら助けを求めてもいいんだぞ。」





もちろんオレでもいいけどな、と言い終えるとディーノは を放す。笑って手を振る。










行ってらっしゃい。またこっちへ帰って来いよ。










はありがとう、とだけ言って笑うとゲートへと歩き始めた。










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