パソコン画面と自らの足で調べた結果、そして多くのラインが引かれた世界地図を前に1人考え込む 。何かに気付くと極東・日本に赤い丸を描いた。










ACT.3











彼らの移動手段から日本にいることはわかった。





「けど……。」





けど、そこに何の目的があるのかを はまだ見当が付かなかった。 桃巨会などのジャパニーズマフィアはあるにはあるが勢いは弱く、わざわざ出向く理由には当たらない。 早くも壁にぶち当たってしまう。
ふーと長い溜息を1つつくと はなんとなくケータイを手に取った。 とはいってもどのメールも返信済み、あるいは確認済みで、伝言メモが1件ある位。 何か重要な連絡だとは思えないと は思いながらも確認することにする。





『もしもしディーノだ。何か手がかりは見つかったか? オレはボンゴレ10代目の様子を見に日本へ行くからこっちを3日程留守にするが気にするな。 例の件については帰ってきてから直接話そう。イタリアに着いたら連絡は入れる。じゃ。』





ボンゴレ10代目の様子を見に日本へ行くから





は心の中でディーノにありがとう、と呟いた。





「なるほど。もしかしてボンゴレ10代目候補は日本の、それも並盛にいる……? ……となると骸たちの狙いはボンゴレ10代目……?」





ボンゴレ10代目はまだ若く、同い年だと はディーノから聞いたことがあった。 は母が日本人だということもあり、少なからず興味を持っていた。 それに、自身は闇世界の住人としてはどこのファミリーにも属しているつもりはないが、 父がボンゴレ組員であるため、親近感がないとは言えない。 直接会ってみたい、という気が起こる。





「仕事、だしね。それに。」





呟くことでプライベートを仕事に持ち込んでいるという罪悪感を拭おうとしてみた。




















は潜入する学校を並盛周辺にある学校からランダムに並盛中を選んだ気になっているが、実際はそうではない。 実はそこは の母の母校であり、母の話を母方の祖父母から聞くときによく耳にしていたのだ。 そのため、なじみがあった並盛中を潜入先に選んだ。
ここで話は変わるが察しの通り、 の母は亡くなっている。 だからこそ にとって母の存在と言うのは限りなく大きい。 実際に見たことがないからかもしれない。 父や、母を知る人物から話だけを聞く存在……。 聡明で快活だったと聞く。 母だから、ということももちろんあって は母のことを尊敬している。 まだ父と一緒に暮らしていた頃には母が遺した学術論文や著書を父の書斎からとってよく読んでいた。
だからなんとなく学者の道を選ぼうとしていたのだ。
真実を知るまでは……。










真実を知ってしまった今、 は母に対して、また父に対しても罪の意識を背負いながら生きている。










だから、なのかは 自身でもわからない。
大学を中退し、闇世界の中に足を踏み入れた。 醜い自分には似合っている、とでも思っていたのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。 でも彼女自身今では自然の流れだったと感じている。
父も仕えていたエンリコが亡くなり、ボンゴレや自分の身の周りがゴタゴタとしていた時期だったから、そんな に誰も何も言わなかったのだ。
後から電話で父にそのことを伝えたときの「そうか……。」という残念そうな声と 「自分のやりたいことをやればいいんだぞ。」という諭すような声を は今でも覚えている。



「大丈夫。あたし、強くなるから。」



自然と出てきた言葉が本心であったかなんて 自身にもわからない。
けれども運命なんていうものは放っておけば放っておいたなりに勝手に進んでしまうもので、案外そのままズルズルと2年、いや3年もの月日が流れてしまったのだ。 は今では闇世界に入りたての頃には考えられない量の仕事を依頼されるようになっている。





暗殺者・ として。










     BACK