スクアーロは次の日学校に来なかった。 それはその次の日も同じだった。 クラスの男子の話によると、どうやら宿舎の自室にもいないらしかった。 もしかしたらあの日あたしの部屋から離れた後、ずっと戻っていないのかもしれない。 罪悪感からやってくる「あたしのせいじゃないだろうか……?」という気持ちが起こる一方で、 「どうせまた修行とかなんとか言って、人を殺しに行っているに決まってる。」と憤るあたしもいる。 最近ずっとこの調子だ。 答えはいつまでたっても出てこない。 もしかしたら答えなんてないのかもしれない。 現実には答えがない問題がたくさんあるなんてことはあたしでも知っている。 きっとこれもそのうちの1つにすぎないんだろうなぁ。とあたしは思った。 けど。 そう、けど、結果がこれじゃああまりにも、散々だ。 あたしはただスクアーロを傷つけたにすぎないのだ。 もっと別の言い方だとかやり方だとか、そういうのはたくさんあったはずだ。 なのに、これだ。あんまりすぎる。 「なぁ、 さん。」 ポンポンと優しく肩を叩かれたのに続いて、ふわりとした優しい声がかけられた。 振り返るとそこにはここ数日学校を休んでいたディーノ君の姿があった。 転んだ、では済まないような傷がたくさんついていて、スクアーロを見ているような気分になる。 ずきん、とあたしの胸は痛んだ。 あたしはポケットにばんそうこうを入れていたのを思い出して彼に手渡す。 「ほっぺたと目の下、傷がついてるよ。」 「あっ、ありがとう……ってそうじゃないんだ。」 もじもじと彼は顔を赤くした後、ばっとノートを出した。 「休んでた分のノート写させて下さいっ……!!」 あたしは呆気にとられて彼の顔をまじまじと見る。 「あっダメならいいんだ!うん、ごめんなっ!」 「ち、違うわ!全然いいよ。ただちょっとびっくりしただけ。」 だってディーノ君と話したこととかなかったし……。とあたしが言うと、ディーノ君は再度顔を赤くした。 「そ、そういえばそうだね……。」 「あ、あの……!」 「え、どうしたんだ……?」 「あの、わかんないこととかあったらいつでも聞いてね!」 「ほ、本当!?ありがとう!!」 ディーノ君はそう言うとすごく無邪気な笑顔を見せてくれた。 なんだか久しぶりに少し気持ちが晴れた気がした。 |