スクアーロを避けるがために、いたずらに暇な時間を作らないようにあたしは友だちと久々に外に遊びに出掛けた。 けれども、ただ学校や宿舎から抜け出したかっただけのあたしが、みんなには気乗りしてないみたいに見えたらしく (実際、別段遊びたいってわけではなかったわけだから当たっている) 、結局あたしはみんなに気を遣われてしまって、まだ日も暮れないうちにお開きになってしまい、思ったほど時間は潰れなかった。 宿舎に戻ってきて自室の鍵を締めると、あたしは妙に脱力してしまってその場にずるずるとへたり込んだ。 妙にかばんが重たく感じられる。 気を張っていたのかもしれないなぁ……。 あたしは息をゆっくりはくと、少しだけ落ち着きを取り戻せた気がする。 そこでやっと今日のことをみんなに謝らなきゃ、と思えて、ケータイを取り出すと、スクアーロからメールが届いていたことに気付いた。 けれどもケータイなんて殆んど使わないし使えないスクアーロがせっかくメールを寄越してくれたというのに、 あたしは送られてきたメールを結局無視してしまった。 『何を怒っているんだ?』 『オレが何かしたのか?』 立て続けにスクアーロから送られてきたメールは今のあたしにとっては本当に無神経な物で、あたしはすごく悲しくなった。 そしてそれ以上にスクアーロに怒っていた。 逆撫でされた神経は逆立って、過剰反応。 ほんの少しでもスクアーロがあたしの気持ちに近付こうとするものなら、 あたしはスクアーロに対してまるで報復するみたいに、冷たい態度をとった。 どうせあなたにはあたしの気持ちなんて理解できないでしょう……? そんな、ひどく傲慢な気持ちを内包させて。 それでもスクアーロは諦めようとしなかった。 メールの次は今度は電話をしてきたのだ。 あたしはケータイのディスプレイにスクアーロの名前が表示されると、苛立ちにまかせてブツッと切ってしまった。 寂しい無機質な音が箱の中から聞こえてくる。 ほんの少しの後悔とこんなことしかできない自分への苛立ち、そしてあたしにこんなことをさせたスクアーロへの怒りがじわり、と胸の中に拡がる。 数分とあけずにまた電話がかかってきたけれど、あたしは今度は取らなかった。 いつまでも鳴り続ける着信音はあたしのことを追い詰める。 思わず取りそうになったけれど、どうせまともなことなんて話せないということと、 切った後に襲ってくるさっきみたいな苦いばかりの感情を思うと、それも制することができた。 ぴたりと着信音が止まった瞬間の虚しさと安心感のないまぜになった感覚は、どんどんあたしを自己嫌悪に陥れさせた。 ドンドンドン!! 「おい、 !帰ってきてるだろ?開けろ!話があるんだ!」 ドンドンドンガチャガチャドン ちっ、んだっつーの! ドンドンドンドンガチャガチャガチャ くっそ……ガチャガチャドンドン !!オレはわかってるんだからな! ……ちっ。 あたしがベッドの中で聞かないふりをしていると、スクアーロはドアを隔てても聞こえる位大きな音で舌打ちをして、どこかへ行ってしまった。 メール。無視。 電話。無視。 訪問。居留守=無視。 今日1日、あたしはスクアーロから逃げてばかりだった。 |