スクアーロが学校の授業に出なければいいのに。なんてことを思いながら、あたしはその日1日を過ごしていた。 授業中も、休み時間に友だちと話しているときも、食堂でお昼を食べているときも。 今日はもうきっと出てこないだろうな、って思えたら、何だか急に苦しいような、でもホッとしたような不思議で嫌な感覚がした。 胸の辺りが苦しい。息がしにくいようにさえ感じた。 でもそんなことはまだ序の口だった。 「 。」 お昼を食べ終わって友だちと談笑しているとスクアーロがあたしを呼んだ。 あたしは反射的にその声に反応してスクアーロの方を向いてしまった。 そのせいでスクアーロとばっちり目があってしまって、その瞬間にあたしはものすごく後悔をした。 辛かった。 スクアーロに怒りを覚える自分が酷く嫌な人間に思えた。 息が止まって、酸欠みたいな感覚に陥る。 苦しい。 胸が抉られたみたいな痛みが全身を支配する 抉られて軽くなるはずが、胸は重たい。 まるで鉛か何かが、失われてしまった血肉の代わりに埋め込まれたみたいだ。 冷たい感触が周りの神経に伝わって痛みを増幅させる。 壊死、いつかしてしまうんだろうか……? 心に凍傷があるとするならきっと、あたしはそれになってしまうでしょう。 冷えきった心の一部はきっと、真っ黒に染まって腐り落ちてしまう……。 ひょっとして、残酷なのはあたしではないだろうか……? あたしはスクアーロに背を向けると、友だちと連れ立ってスクアーロから距離をおいた。 薄く儚く頼りなさげに窓ガラスに映り込んだスクアーロの像は、困惑の表情であたしの方を見ていた。 |