彼のいない教室であたしはほかのマフィアの子どもたちと一緒に勉強する。 周りはみんな勉強なんてやる気がないような奴らばかりだから、あたしはまぁ割と上位にいる。 とはいってもあたしは医者になるという大きな目標があるから勉強位頑張らなければならないのだが……。 まぁ、別に勉強はそこまで嫌いではないから苦痛ではないからいいけれど。 それに何よりも勉強のことを考えているときにはスクアーロのことを考えている余裕なんてないし。 もしかしたら、だからあたしは勉強が嫌いではないのかもしれない。 「勉強進んでるか……?」 あたしの部屋のベッドに寝そべりながらスクアーロはあたしに聞いた。 「まぁそれなりに、かな。スクアーロはもう少し勉強した方がいいと思うよ。 言語の時間しかまともに授業に出ないのって流石にどうかと思う。」 あたしが笑いながら言うとスクアーロは「オレには剣があるからいいんだよぉ。」と不機嫌そうに言った。 口元がかわいいなぁなんて考えていたらぷい、と横向かれてしまった。残念。 ちなみにスクアーロはこの間イギリスへ行ったときの休み分のノートをまだ写し終えてすらいない。 当然今週末に提出期限が迫っているレポートも未だ手をつけてすらいない。 にもかかわらず、今の彼はさっきからずーっと続いている長い休憩中である。 「お前、医者になるんだってな。」 「まだ決まってないよ。」 「でもなりたいんだろ?」 「それはなりたいけどさー、そんなこと言ってもなれないかもしれないじゃん。」 「 ならなれる。オレが保障する。」 「スクアーロに保障されると逆に不安になるんだけど。」 あたしがこう言うとスクアーロはすねたのか、バカヤロ、と言った後、枕に顔をうずめてしまった。 あたしはそれを見ていると、あたしの荒れ具合はここ数日のスクアーロがいなかったときと比べて、なんて穏やかなんだろうと思った。 自然と口角が上がる。 笑ってるんだ、自分。と気付くまでそう時間はかからなかった。 「なぁ、 。」 枕に顔をうずめたままで言ったもんだから、スクアーロの発した声は酷くこもった物になってしまっていた。 「何?」 「もし が本当に医者になれたら……」 「なれたら……?」 「オレの専属の医者になってくれよ。」 言った後すぐに「ア゛ーはずいー。」と低い声でスクアーロは唸った。 バカ。 本当に恥ずかしいのはあたしの方だ。 |