アンドロメダ・11





約束の放課後。
あたしとしては宿舎で勉強してもよかったのだけど、ディーノが宿舎だとダラけてしまうから、と言ったので、 結局あたしたち2人は教室で勉強をすることになった。




















「なるほど!やっとわかった。」





ディーノは初めこそ全然だめだったものの、勉強を始めて2時間、今では今日の分はほぼ完璧と言えるほど習得していた。 (きっと本当はできるのに、サボッてばっかりだったんだろう。)





「ありがとな。先生の説明よりずっとわかりやすかったよ。」



「えっ、そう……?それはさすがにないと思うな。」



「いや、そんなことねぇって!オレのわかりにくかった所を丁寧にやってくれるしさ。」



「あぁ、それはあたしも先生の説明でわからなかったから質問したりとかして重点的にやったから……。」





あたしがそう言うとディーノは驚いたような顔をした。な、何!?





「え…… でもわからない所とかあんの!?」



「失礼ね!あたしだってコンピュータじゃないんだからわからない所位あるわ。」



「へー……。じゃあ もできるようになるまでに努力してるんだな。」





ディーノは呟くようにそう言うと、あたしの顔をまじまじと見た。
あたしはその視線が眩しくて、「もうこれで終わり?」と教科書に視線を移した後に言った。





「あぁ。理科もいくつかわかんねえとこあったけど、とりあえずもう1回やってみるよ。それに今やった数学の演習もしたいしな。」



「そう。」





あたしが顔を上げると、ディーノはあーぁ。と言った後に溜息をついた。





ってさー、第二言語何取ってる?日本語クラスにいないだろ?」



「あ、うん。あたしはドイツ語。何で?」



「だってもし が同じ選択だったら数学とか理科だけじゃなくて日本語も教えてもらえたのに、って思ったんだよ。」





何でドイツ語なんかにしたんだよー。とディーノは言いながらカバンに乱雑にノートを詰めた。





「ディーノこそ何で日本語なのよー。」





あたしが笑いながら言ったのに、ディーノはなぜか真剣な顔つきである。 普段の表情とのギャップがすごくて、かっこいい。





「オレのファミリーはさ、ボンゴレの傘下だから日本語知ってるといいらしいんだ。」



「確かディーノはキャバッローネだよね?あれ、でも継がないとか言ってなかった?」





あたしがほとんど話したことがないディーノのことをちゃんと覚えていた理由はこのことが大きい。
だってこの学校ではマフィアになることが当たり前みたいな所があって、 「マフィアの中にいるのにマフィアになりたくないなんて、あたしだけがおかしいんじゃないか?」って何度も悩んだのに、 ディーノはそれを堂々と公言してたから。
あたしは、例えみんなに落ちこぼれだとかへなちょこだとかって言われてようが、ディーノのことをずっとかっこいいと思っていたのかもしれない。
それなのに、これが、




















「オレ、継ぐことにしたんだ。」










あんまりだ。










「ファミリーも住民も、みんなのことを守れるボスになりたい。」





そのためには強くて賢くならなきゃな。と言って、ディーノは笑った。
あたしはその言葉を聞いて、何かが胸にすとんと落ちた気がした。





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