「おせーよ、一体2時間もどこほっつき歩いてたんだっつーの。」





こっちは早く会いたかったってのに、なんて恥ずかしいセリフをくっつけると、コロネロはあたしの手から荷物を取り上げた。










母国情緒・03










急かされながらドアを開けると、コロネロはあたしより先に家に入っていった。





ー、キッチンに置いとくぞ。」



「あぁ……うん。」





靴を脱いでるあたしを背にコロネロは中へ。 ドサッという音がしたと思ったら、今度はコロネロの「疲れたぜコラぁ……。」という力ない呻き声が聞こえてきた。





「あのさ、コロネロ。」





あたしは冷蔵庫にまだ使わない食材を詰めながら話しかけた。 んー?という声は濁っていて、それは彼の疲れ具合を表しているように感じられる。





「……やっぱりいいや。ご飯食べながら聞くし。それより何か飲み物いる?」



「冷たい物なら何でもいい……。」





ソファーに寝そべっているコロネロに、グラスにミネラルウォーターをたっぷりと注いで渡すと、受け取ったかと思うとすぐに飲み干してしまった。
「もう1杯。」と言ってグラスを差し出したコロネロに、あたしはペットボトルごとミネラルウォーターを渡すと、料理に戻る。





ー。」



「何?」



「なんか冷たいぞコラ。」



「そう?」





チラリとコロネロの方を盗み見ると、ぶすーっとして不機嫌そうな表情をしている。
じゅわぁっと音をたてたフライパンは、同時に白い水蒸気を上げてそんなコロネロの顔にヴェールをかけた。 同時にいいにおいが部屋に漂う。
するとコロネロはソファーから起き上がってグラスに水を注いだ。





「いきなり帰ってきたことは謝る。」



「……。」



「驚かせたかったんだ。」



「スカル君に聞いた。」



「スカルに……?」





あのヤロ……。とコロネロは呟いた。
今度会ったら、の後は油のはねる音で聞こえなかったけれど……まぁいいや。どうせいい言葉じゃないに決まってる。





「もしかしてじゃあ 、オレの家に



「えぇ。言ったわよ。」





元・コロネロの家だったみたいだけど。と付け加えると、コロネロは怒られた犬みたいな顔をした。
……似合わない。というか、見慣れない。





「悪い……。本当にごめん。」



「いいわよ、もう。ここにいるってことは、別にあたしのこと嫌いになったわけじゃないでしょう?」



「当たり前だろ!!」





あたしは予想よりもずっと強くコロネロが肯定してくれたのが嬉しくて、恥ずかしくてあっ、そう。と淡白な返事1つして料理に戻った。