あたしが職員室から戻ると友だちは「どうしたの?また面倒事?」と心配そうにきいてくれた。 あたしはこの学校では数少ないマフィアじゃない子たちと友だちが、いずれマフィアの世界に身を置くことになるであろうあたしと友だちになってくれたことを感謝した。 そして同時にあたしはこの子たちをずっとずっと大切にしなきゃ、とも思った。 「ううん。何でもないよ。ただちょっと話があっただけ。」 あたしはこっそりと封筒を机の下に忍ばせた。 「あっ、そうだ。 が職員室に行ってる間に男子が噂してたよ。」 はそう言うと声を潜めた。 「ほら、あの……スクアーロのこと。」 、きっと気にしてるだろうから。と言うと は真剣な表情になった。 あたしはガタン、と音をたてて椅子に座り直して引いた。 スクアーロは今日も学校に来なかった。 「スクアーロってすっごく強いけど一応マフィアではなかったでしょ?この学校にいるくせに。 でもね、ついにマフィアになるかもしれないんだって。ボンゴレにスカウトされたらしいよ。」 「しかもよりによってあのヴァリアーに。」 2人はあたしの方を心配そうに見ている。 「ヴァリ……アー。」 あたしでも知っている位有名な組織だった。 独立暗殺部隊・ヴァリアー。 邪魔者を殺すために存在する組織。そんな所にスクアーロが……。 あたしは頭が真っ白になってしまった。 「 、大丈夫……?」 「あ、うん……。大、丈夫。」 「嘘、ついてもわかるんだからね?」 は眉間にしわを寄せながら言った。 すごい剣幕。 は優しすぎるんだよ、とあたしは心の中で思った。 あたしのために怒ってくれるなんて。 「 、授業なんてあんたの頭ならなんとでもなるんだから、今はアイツんトコに行ってきなさい。」 「そうよ。先生にはあたしたちが何とでも言っておくしね。」 「二人とも……。」 あたしが何て言って感謝したらいいのかわかんなくてわたわたしてると はあたしの背中をパシッと叩いた。い、痛い。 「あたしは正直に言って、マフィアだとかそういうのをあんまりよくは思ってないわ。」 はそこで一旦切ると、息を長くついた。 あたしは見つめることしかできない。 「だからスクアーロのことだって別に何とも思ってない。むしろ嫌いな位。」 あたしの胸はズキンと痛む。 あたしも、 と同じなのだろうか……? 「でもさ、 が好きだって言うんだからきっとあいつにもいい所の1つや2つ、何かしらあるんでしょう。 あたしは の目を信じる。」 2人はあたしの背中を押して、あたしの体を廊下まで出した。 「だから言ってらっしゃい。上手くいけばよし、失敗したらあたしたちの所に戻ってきなさい。」 受け止めてやる。と言って笑うと、 はドアを閉めた。 ガラス越しに2人の姿が見えてあたしは勇気を少しもらった。 |