疲れた。










仕事をすることに対して。
元々マフィアを相手にする軍師なんて職に就いてるせいで、オレは酷く神経を磨り減らしやすく、気を付けていなければならないタイプの人間なのだ。
今も少し鬱気味なのか、ここ最近、楽しいという感情を感じた覚えがない。
常に何かに苛立ち、暗い気分であるようにオレは思う。
このまま放っておいたのでは、オレは生きることまでをもリタイアしかねないなと思い、今の仕事が片付いたところで一時だが仕事を休むことにした。
そのことがいいエサになってくれているせいか、オレは最近作業を妙に素早くてきぱきと進めることができ、 ついに今ではオレの手元にある報告書は片手で数えるほどしかなくなってしまった。






























終わった。










やっとだ、というのが今のオレの率直な感想。
オレは終わったことを実感したその瞬間、とりあえず伸びをしてみる。 パキッという軽い音が背中から聞こえた。
報告書を全て提出し、サインももらい終えると、オレは全てから解放されたような気分になった。
……いや、実際にはそう思いたかっただけで、まだ暗い気分はオレにくっついてきていて、まさに影のようだ。
片時もオレから離れそうにないなぁとさえオレは感じる。




















職場から出ると季節はもう夏も終わりに差し掛かっていて、バカンスの季節も同時に過ぎ去ろうとしていたようだ。
夏の風といえば生ぬるいものであるはずなのに、いつの間にか少し肌寒さを感じる。
明後日にはシチリアだ。
オレは心ん中で呟き、元気づける。
あとは荷物をまとめて、飛行機に乗るだけだ。
そうすりゃちょっと遅れたがバカンスだ。
オレは海を思い浮かべようとしたが、どうしたってどの海もタコがいたり軍艦があったりしてバカンスなんて気分になれなかった。
最悪だ。
かと言ってオレは1日中家にこもる気分にもなれないのだから、本当に救えない。





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