オレはホテルに着くと受付の女に「沢田さんは?」と受付をする前に聞いた。





「獄寺様ですね?今お呼び致しますのでしばらくお待ちください。」





女はオレの顔を見ると困ったような笑顔を作った後、携帯を手にした。
オイオイ、どうして携帯!?





「獄寺さぁん!これでもあたし一応女なんですから、荷物の1つ位持ってくれたっていいじゃないですかぁ!」





背後から大声で不平を言うのが聞こえて、オレはチッと舌打ち1つした後振り返る。
の身体には少々大きすぎるボストンバックをオレはひょいと担いでやった。





「あ……ありがとうございます。」





自分が持てと言ったくせに、オレがあいつの言う通りにした行動が予想外だったのか、 は驚いたような表情をした後、少しトーンの低い声でそう言った。





「もう荷物は?」



「スーツケースが1つ……あっ、でも獄寺さんのお手を煩わすのは……」



「自分でやれっつっといて何だよ。」





オレは窓際に置いてあるテーブルとソファーの群を指差し「邪魔だから座っとけ。」と言った。






























車のトランクからスーツケースを下ろしてホテルに戻ると、 の隣に十代目がいらっしゃった。





「十代目!」




「獄寺君!」





感動の再会!





「お久しぶりです、十代目。」



「久しぶり。今演奏旅行中何だって?」



「はい。日本から始まってアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリア、フランスまで終わって、シチリアとイタリア本国の後2回で終わりなんですがね。」



「へー……。大変そうだね。」





十代目はそう言うと「荷物置いてからゆっくり話さない?」と言ってくださった。





「獄寺君、こちらの方は?」



「あっ、私獄寺さんの専属マネージャーの という者です。」



「そうでしたか!いや、すいません。なんか僕勘違いしてたみたいで……。 じゃあお部屋にご案内しますね。獄寺君は503号室、 さんはその隣の504号室です。」





十代目がそう言ったのとほぼ同時に、奥からリボーンさんが現れて「ツナ、今日はもう上がっていいぞ。」と言ってくださった。
さすがリボーンさん。懐が深いぜ。





「まっ、その代わり減給は覚悟しとけよ。」





……オレは何も聞いてない。





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