3年近く付き合っていた彼女・ローズにフラれてしまった。 『ディーノは優し過ぎるのよ。』 なんて言葉を残して、ローズはオレの前から走り去ってしまったのである。 大粒の涙をたくさん流しながらローズが発した言葉は、容赦なくオレの胸にグサグサグサグサと突き刺さって、オレを傷つけた。 オレにはわからなかった。 ローズがなぜ泣いていたのか。 だって誰がどう考えたってローズがフッて、オレがフラれたわけだから、オレが泣くはずじゃないか。 違うか? それに『優し過ぎる』って……。 じゃあ何だ?オレはローズを虐めればよかったのか?オレにそんな趣味はないぞ……!! わかってる。そういう意味じゃないことは。 でもローズが何を望んでいたのかはオレにはわからなかったし、今もまだわからないでいる。 ローズ。じゃあオレはどうすればよかったんだ? 別にヨリを戻そうなんていう気は更々ないが、せめてどうしたらよかったか位教えてくれたっていいじゃないか。今後のためにも。 ……なんて嘘、嘘。 多分会ってしまったら、楽しかったことだとか素敵な思い出だとかをいっぱい思い出して、オレは余計にローズのことが忘れられなくなるだろうし、 どうしたらよかったのかなんて聞いてしまったら、オレはきっとたくさんの後悔をすることになるだろう。 それに……ローズはきっと長い間考えて結論を出したんだろう、とオレは思う。 そういうモノはいくらオレが言った所で結論は変わらない。オレはその辺りはよく心得ている。 でも頭で理解していてもどうしようもないのだ。 感情はないものねだりの精神でローズを求める。 会いたい。会って、謝って、もう一度やり直したい……。 「ボス!!」 「うぁっ!?」 オレがオレを呼ぶ大きな声に驚いて顔を上げると、ロマーリオがそこにはいた。 その表情は曇っている。 「ボス。」 「な、何だ?」 「ボス。オレはこんなこと言いたくなかったが、今のボスはキャバッローネには邪魔だ。」 「おいおい。冗談はよしてくれよ。」 「どっちが冗談言ってるんだ、ボス。自分が全然仕事に身が入っていないこと位、いくら今のボスでもわかってるはずだ。」 オレはロマーリオの言葉に言い返せなくておし黙る。 グサグサ。 またもオレの胸はひどく痛む。 「暇を取って、調子がよくなったら戻って来ればいいじゃないか。 それとも何だ?そんなにオレたちは頼りないのか?」 「いや、そんなわけないだろ。」 ありがとう、ロマーリオ。 |