慣れない作業に、正直オレは骨が折れた。
けれどもオレも含めここにいる3人は骸様に吸い寄せられて集まった3人なのだと強く自覚すると、そのたびに折れかけた意志を復活させることができた。






























「クローム。」





オレに呼ばれたことがよっぽど意外だったのか、クロームは一瞬ビクリと身を震わせた。
……失礼だな。





「何?」



「骸様を捜すの手伝ってくれない?」





オレの言葉に、クロームは眼を輝かせ、即刻頷いてくれた。





「どうしたらいいの?」



「電話をかけてくれればいい。」



「?」





疑問符を頭の上にたくさん浮かべている。
オレは先程ネットカフェで慣れないパソコンを前にメモした紙をクロームに見せ、そして渡した。
途端、クロームは怪訝な顔つきになる。
まぁ仕方ないか……。
オレがクロームに渡したのは、骸様が向かったであろうシチリアの全てのホテルの電話番号なのだから。
オレははぁーっと溜息をついた。





「仕方ないだろ。それとも骸様を捜すの諦める?」





オレがそう聞くと、クロームはふるふると頭を横に振った。





「やるけど……じゃあこれは何?」



「骸様が泊まってる可能性のあるホテルの電話番号。」





わかった、という意味なのだろうか……?
クロームはオレの返事に頷いた。





「イタリア語、わかる?」



「……ちょっとだけ。」



「多分大丈夫。『六道骸が泊まってますか?』って聞けば充分だし。」





クロームはオレの言葉に頷いた後、「ねぇ。」と蚊の鳴くような声で聞いてきた。





「何?」



「何で私が電話するの?」



「オレたちじゃきっと、骸様は電話がかかった後、警戒してホテルを変えるだろうから。だって、拗ねてるわけだし。」





クロームはオレの言葉に納得したのか、頷くと「電話かけてくる。」と言って部屋を出ていった。
入れ替わりで部屋に入ってきた犬は「あの女、何急いでんら?」とイライラしながら言った。
オレは犬に言うのはまだ先にしよう。と思い、「さぁ?」とだけ言った。





Back          Next