洗い物をしているとリビングから笑い声が聞こえてきた。
なんだろう?とあたしが思って覗いてみるとテレビでコロネロが好きなコメディアンが芸をしている。 ちなみにあたしはそのコメディアンのことを別に好きでもなければ嫌いでもない。ただよく見るなぁと思う顔、と言った感じ。
でも、コロネロの笑顔が見られてちょっと嬉しかったので好きになるかもしれないとあたしは思った。










母国情緒・05










食事を終えて、片付けも全部すっかり終えたあたしは、リビングでソファーにねそべりながらのんびりとテレビを見ているコロネロの隣に座った。
コロネロはむくりと起き上がると、あたしの肩を抱き寄せてからそのままさっきと同じ様に身体をソファーに預けた。
えええー!?これ、なんていう体勢なんですかね!?





「……何かたくなってんだコラ。」



「だだだってコロネロが……!!」





あたしは起き上がろうとしたけれど、コロネロの力はあたしなんかじゃ到底敵わない位強いから、ちっとも体勢が変わることはなかった。





、お前さぁ……。」



「ん?」



「もうすぐ結婚するんだぞ。」





つか今約束したばっかだろ?とコロネロは言うと拗ねた様にテレビの音量を上げた。
あたしはコロネロの言葉を反芻してあぁ。と了解すると同時に顔が赤くなった。





「そんなこと言って今までからしてたし……ってそういうことじゃなくて!!」



「どういうことだよ。」





何1人で騒いでんだ、と言うとコロネロは笑った。にやり。
ななな何ていうか……その、その笑い方さえもセクハラ的だ……。





のえっちー。」





茶化すな。





「どっちが!」





あたしはそう言うと、笑った拍子に力がふにゃり、と抜けたコロネロを見逃さずに、腕(……というかむしろ身体?)から脱け出した。 あたしはプイッとコロネロから顔を背けて、立ち上がる。
けれども次の瞬間、また腕をぐいっと引っ張られてしまい、ソファーの方へ引きずり込まれた。 油断大敵、なんていうコロネロに教わった日本語の言葉を忘れていた。
なるほど、日本人はすごい。大昔の人たちでさえもこんなことを知っていたのか。
あたしがコロネロをキッと睨むとコロネロはふにゃりと笑った。
なぜこの状況で笑える……?





「(もしかしてコロネロ酔ってる?)」





あたしが不審がって見ているのにコロネロはまだだらしない笑みを浮かべたままだ。





ー。」



「……何?」



「今日はこれで勘弁してやるぜコラ。」





え?とあたしが疑問符を浮かべるより速く、コロネロはあたしにキスをした。





「な!?」





驚くあたしをおいて、コロネロはにこぉと笑うとそのままスピー……と寝息をたて始めた。




















久しぶりのキスはやけにほんのりとした高揚感と幸福な気持ちでいっぱいだった。