。」



「ん?」



「クリーム、ここについてるぞ。」





そう言って優しく笑いながら武は自分のほっぺた(口の近く……?)を人差し指でつんつんと2、3度つっつくと、 「ふぇっ!?」なんていう奇っ怪な色気が少しも感じられない声をあげてしまったあたしを尻目に、 何のためらいもなく、人差し指であたしのほっぺたについた生クリームをぬぐった。
それだけでもあたしにとっては一大事だというのに、更に武はそうすることが当然だと言わんばかりに、 平然と少し生クリームが付着してしまった指を自分の口へ入れてしまった。
な、なんかこれエロいんですけど……!! あ、もしかしてそんな風に思ってしまうあたしがエロいんでしょうか……? (……っていうかそれよりコレ、された方の身になってよ!って感じなんですけど。 もうなんていうか、恥ずかしいなんてもんじゃない位に恥ずかしいんです……!!)





「ん?どうかしたか?」





それなのに武は悪びれる様子もなく、無邪気にあたしに笑いかけた。屈託ない微笑み。





「どうかしたか、って……。それはだって……!」



「だって?」





あたしがもじもじしていると、武はまたさっきみたいな優しい笑みを浮かべながら「顔、赤くなっちまってる。」と言った。





「……だって、武が、そういうことするからじゃん……。」





あたしがそう言うと武はショートケーキの最後の1口を食べた。 お皿の上に無造作にフォークが置かれたせいで、カチリという高くて澄んだ音が鳴る。
武は食べるの速いなぁ。
ちなみに最後の1口は生クリームたっぷりのスポンジ部分である。 食べる速さにもびっくりしたけど、それ以上にびっくりしたのは苺を1番最初に食べてしまったことだ。
あたしは苺のショートケーキの苺は、断然最後までとっておいてから食べる派なんだけどなぁ。
だからホラ、今もスポンジ部分の隣、苺がお皿の上に残っているってわけなんですが。
武も一緒ならよかったのに。





。」



「ん?今度は何?」



「また生クリームついてるぞ。」



「ふぇっ!?」





ちゅっ
甘い音がなってから初めてあたしは自分の置かれている状況がわかって、ひどく混乱した。





「な、な、な!?何してるの!?」



「えー、だってさっきのは 、嫌だったんだろ?」



「だからって……。普通そういう方向にはならないでしょ?」



「あっやっぱり?」





やっぱり武は悪びれる様子もなく笑っている。
あたし、遊ばれてる……!?















のショートケーキ
オプションはたっぷりの生クリーム
「っていうかよく考えたら生クリームついてるわけないじゃん!」



「なんで?」



「だって武が指でとった後にあたし食べてないもん。」





嘘だったの……?
あたしがそう聞くと武はさも楽しそうに「バレたか。」と言って赤い舌をチロリと出した。





真っ赤な苺みたい。
なぜだかそれはひどくエロチック。