多分、昨日9時なんていうとんでもなく早い時間に寝てしまったせいか、すごく朝早くに目が覚めてしまった。 家にいるのもなんだかなぁー……ってことで、珍しく早々に家を出た。 そこまでは別によかったんだけど、家を1歩出るとそこは極寒! ほんっとに寒い。1度出てしまった手前、出て間もなく家に入るのもなんだか変な話だし、 ましてや、「忘れ物した。」なんて言って入ったらただの間抜けだ。
失敗したなぁ。こんなことなら布団から出ずに、ぬくぬくだらだらしとけばよかった。




















「寒い……。」





そう呟くと白い靄があたしの口から出て、空に昇っていった。
ポケットの中に入っているカイロを握り締めて歩く。 寒いとなんとなくあたしは下ばっかり見てしまうもんだから、 だめだだめだこれじゃだめだ!!と自分でもイマイチ何がだめなのかはよくわかっていないけど、そんな風に思って無理やり空を見上げた。 冬の空は澄んでいるせいか妙に奥行きがあるような気がする。 あまりにきれいだから、なんだか得した気分になった。










「よっす! 。」



「わぁっ!?」





突然話しかけられた上、肩をポンと叩かれたからひどく驚いた。 鞄、うっかり落としそうになったじゃないか。





「山本ぉ。」





あたしは少し怒りながら言ったつもりだったのに、それが彼には上手く伝わらなかったのか、彼は爽やかな笑顔。炭酸水……?





って学校来るの意外に早いのなー。」



「意外にって何だよ、失礼なやつだな。確かに普段こんなに早くないけど、実は密かにあたし無遅刻だぞ、無遅刻。」



「マジ!?本当意外だなー。」





あたしは軽くムカついたのでかばんを軽く山本にぶつけた。こつん。





「つんでれ?」



「あほ。」





やっぱりつんでれだろーと山本は軽く笑いながら言った。
小間切れの白い靄が山本の口から2,3出てきた後に、すうっと空気に溶けて消えた。





「なぁ 。」



「何?」



「オレ本当は今日部活の朝練だったりするんだけどさ、」



「うん……ってえっ!?野球部って朝練の日は練習7時からじゃ……!?」



「だからもう今からじゃ間に合わねーし、寒いのはわかるけどさ、もうちょっとゆっくり歩いて学校行ったりしない?」





山本はそれだけ言うと、寒い……と呟いてマフラーに顔を埋めた。





「カイロ、1つだけならあるよ?」





あたしはポケットからカイロと一緒に山本の方へ手を差し出した。
山本は驚きながらも手を取った。
いつもより学校まで行くのに時間がかかったはずなのに、なぜだか短過ぎるとあたしは感じた。















あした