は写真が趣味で、たまぁに自分で現像までしてしまうこともあるくらいなんだけれど、オレと撮った写真で自ら現像したのはたったの1枚だけだ。 まぁそもそも写真を撮った枚数そのものが少ないんだが。 しかしその1枚っていうのが変わってる写真でモノクロでさえなくて(ちなみには普段はモノクロ専門だ)なぜかセピアなのだ。 「何で現代にもなって今更わざわざセピアなんだぁ!?」 ってオレは聞いたんだが、 は笑って 「これもいい味だしてるでしょ?普通のセピアは暗褐色なんだけど、これは少し黄色がかった感じに仕上がって蜂蜜みたくなったのが気に入ってるの。」 と答えるばかりだった。
嬉しそうに言っていた をみていると言えなかったんだが、オレは正直蜂蜜ほど黄色くは見えなかったし、オレにはその写真のよさはわからなかった。 あえてオレがその写真が好きなことに理由をつけるとすれば と2人で写っていたからだろうか。 そうでなければ元々写真が嫌いなオレがそもそもおとなしく写真に撮られたりなんかするはずがないのだ。






























「何をぼーっとしてるの?」





そんな は今俺の前でこの間仕事でドイツへ行ったときについでに撮った写真をオレに披露している。 久しぶりのまとまった休みがその後にあったからか、 は現像(しかも相変わらずのモノクロだ)も久しぶりにやったのだ、と嬉しそうに言っている。 が、オレはその話の途中で昔に1人トリップしてしまったわけだ。 (そしてどうやら今 に現実に連れ戻されたらしい)





「あぁ、悪ぃ。聞いていなかった。」





オレがそう言うと は無言でオレのコーヒー(言わずもがなブラック)にザザーと大量の砂糖を流し込んだ。





「なっ、何すんだテメ……!!」



「あたしの話聞いてくんなかったのはスクアーロの方だもん。」



「だからってあのなぁ……。」





つーんとそっぽを向くと は自分の紅茶に大量の蜂蜜を流し込んだ。オレはげんなりする。





「何よ。何か文句でもあるの?」



「あ、いや……蜂蜜、入れすぎなんじゃねぇかぁ?」



「いいじゃん。これ、アップルティーだし。」





アップルティーだから何なんだ、という突っ込みをオレは飲み込んだ。
はオレに構うことなくアップルティーを飲む。 オレはとてもじゃないがこんな甘いコーヒー飲めそうにない。 口に入れた途端おぞましいことになるのは目に見えている。





、お前昔から蜂蜜好きだなぁ。」



「何で?」



「だってそりゃあお前……










思い出の蜂蜜漬け










大切な思い出を写した大好きな写真でさえも蜂蜜漬けにする位なんだから。










だって思い出はいつだって甘くいて欲しいから、今日っていう日も蜂蜜漬けにする位でいいじゃない?