「がんばれたけしぃーっ!もっとスピード出せるぞぉっ!!」

「お前なぁ……これでも急いでるんだって。」



武はそう言いながらもほんの少しばかり自転車を漕ぐスピードを速めた。 まだまだいけるじゃん。



「きもちー。」



あたしがそう呟くと、武も「そりゃお前はな……。」小さく毒づいた。無視、無視。
武はやせて見えるから、肩とか薄っぺらそうだと思ってたけどそういうわけでもなかったらしく、 やっぱり野球やってるし男の子だし、で、やっぱり逞しい。筋肉質だ。



「武、ありがとね。」

「お礼なら後でな。」

「……ばか。」



かっこいいのが台無しだよーって思いながらも、武の男の子の部分に感心してた後だからか、 あたしはなんだか高揚して、る、みたいだ。
頬が熱い。風が心地いい。



よりも 速く



日記の小話のリサイクル。加筆修正。