君がいるから世界が色を持つ。
そう感じるから……。





















「この雨なんとかならないのかな……?」



「そうか?オレはたまにはこういうのもいいと思うが。」





そう言って彼は再び本へと目を移す。
さっきからずっとそうだ。 2人きりだというのに、目を合わせることさえほとんどしない。それこそ数えるほどだ。
窓の外は雨が降り続いているから、 いつものように外に出かけたりだとかが億劫になるのはわかるけれど、こういうのは流石に悲しい。
私は立ち上がって窓ガラスに額をくっつける。 ひんやり、という言葉ではぬるすぎるほどにそれは冷たかった。





。」



「何?」



「立ち上がったついでにコーヒー入れてくれ。」





エスプレッソ大盛りな、とだけ、リボーンは言った。 窓ガラスに映った本も上げずに口を動かす彼の姿が私の目に入っていたので、当然のことながら私はムッとする。





「やだよ。自分で入れて。」



が入れたのが飲みたいんだよ。」



「その手にはノらないから。」





クシャッと背後で音がした。私は思わず振り返る。 テーブルの上に無造作に置かれてある本がその音の原因であることは明白だった。





「オレが構わなかったことがそんなに嫌だったのか……?」





「……そういうのって重い、とかどーせまた思ってるんでしょ?」





サバサバしてて冷たいリボーンだもん。と私は悪口を続ける。 リボーンの顔は相変わらず涼しい顔。
こいつの余裕ぶりはどこから来ているのだろう……?
(そこがかっこいいんだよね、とか思っちゃった私、ハイ。病気です。)





「まさか。」





そう私の予想外の(でも期待してた)言葉を放つとリボーンは私を抱きすくめた。 ふわり、とリボーンから香水のにおいがした。 そういえば前会ったときと違う匂いのような気がする。





「その手にはノらないから。」



「バカか。お前はオレにノりたくなくてもノせられるんだよ。」





クックッと彼は笑う。相変わらずの余裕ぶり。 なんだかおもしろくない。でも少し、嬉しい。
私ってば自分で思っていた以上に、結構優柔不断な人間だったのかもしれない。





「わかったから離して。苦しい。
 エスプレッソ入れればいいんでしょ?入れれば。」



「いや、前言撤回。」



「はっ?何で。」



「雨上がったぜ。出かけよう。」





この間洒落たオープンカフェを見つけたんだよ、コロネロと一緒のときだったから入れなかったけどな、と言うと 彼はカバンを持って自分だけさっさと歩き出す。





















本当は空じゃなくて私たちの心の間に虹がかかったのかもしれない。
……なんていうのはやっぱり傲慢かな?










「早くしねぇとまた雨降ってきちまうかもしんねぇだろ。」



「はぁい。」





まぁ、彼の傍にいれればそれでいいや。 それだけで世界が色づくから。