あたし、今日、骸の弁当に七味をどばあってかけてみたんですよ。
あっもちろんほんの出来心ですよ。 あたしは骸と違って溢れんばかりの悪意なんてたいそうな物、持ってませんから。 あたし別に昨日楽しみにしていたガトーショコラを骸に食べられたこと、根に持ってるわけじゃありませんから。
話が逸れました。
それでですね、先に簡潔に結論を申しますと彼、あたしにぶちぎれたんです。恐い恐い。
「悪戯じゃん!つかあんた絶対酒を愛する辛党じゃん!」とあたしが応戦するために言った所、 「僕は甘党なんです。というか僕は未成年なので酒は飲めません。」だって。 あり得ねー。正論言ってる骸あり得ねー。つか甘党って……。(ぷくくっ!!)




















「ねえ骸。もういい加減機嫌直してもいいじゃん。あたし、ちゃんと謝ったじゃん。」



がそういう気持ちでいること自体が僕の を許す気を削ぎます。」



「あたし骸がガトーショコラ食べたけど怒ってないじゃん。そもそも謝ること強制してないじゃん。」



「あれは僕のでしょう?我々の冷蔵庫に入っていたんですから。」



「来たよジャイアニズム。」



「なんか違いません……?」





なんか今日はいつになく骸の突っ込みがきつい。気がする。 っていうか骸はそもそもボケ要員なんだから突っ込んじゃだめだよねー。 骸はなんていうかパイナップル頭でいてクフクフ言っていればいいんだ。うん。そうに違いない。





「だいたいさぁあたし、骸と千種と犬のためにパイナップルゼリーと牛乳プリンと果物だらけヨーグルト買ってきてあげたじゃん。自腹切って。」



「何ですか。自腹切った位で偉そうに。大体僕たちと で格差ありすぎでしょう。 それに僕が冷蔵庫を開けたときにはもうガトーショコラとパイナップルゼリーしか残っていませんでした。」



「パイナップルゼリー食えよ。」



「僕はパイナップルが嫌いなので従ってパイナップルゼリーも嫌いです。」



「餓死しとけ。」



「おやつ抜いた位で死ぬやわな男じゃありませんよ僕は。第一そんなんじゃ脱獄なんてできません。今この場にいません。」



「また始まったよ。骸のマフィアごっこ。」



「マフィアごっこじゃありませんし、第一僕はマフィアが嫌いです。」



「もういいからパイナップルゼリー食っとくか餓死しろ。」



「パイナップルゼリーは犬が食べたのでもうありませんし、第一僕はまだ と愛の契りを結んでいないのでまだ死ねません。」





空気読めよ。変態が。恥ずかしいだろうが。





「……大体骸は舌が肥えすぎなんだよね。飴とか舐めたことないでしょ?」



「庶民のおやつですか?ないですね。」



「うまいんだって。甘党は原点に戻ったとき砂糖の塊・飴に戻るらしいよ。」





なんかもうわけわかんないぞ。勢い、だ。口からでまかせ。
あたしは「嫌です。」と言おうとしたであろう骸の口が『や』の形に開いた瞬間に定番の棒つきキャンディー渦巻き仕様を捩じ込んだ。
許せ、骸。毒々しい色だがパインではない。鞄にはパインアメ、入ってるけど、君のために避けたのだ。雀の涙ほどのあたしの慈悲。





「……。」





あたしがそっと手を放しても骸の口からキャンディーポロリ(なんていうか……ポロリって卑猥/……)なんてことはなく、意外なほど骸は大人しく飴なめてる。 「わ、悪くありませんね。原点も。」なんてほざいてる。あたしは意地悪するつもりだったのに。





「……あれ、そもそも何で意地悪したんだっけ?」










ぐるぐる 廻れ










「キャンディーのことですか?それとも七味のことですか?」



「あっガトーショコラ!」





かみあわない。廻り続ける。










ちなみに僕はまだ が七味を弁当にかけたことは許していませんからキャンディーに関してはまずくはなかったので不問としますが。 あたし、骸がガトーショコラ食べたことは許していませんから。 仕方ありませんねナミモリーヌで一緒にケーキを食べましょう。 ……許す。