あたしの彼氏はスキンシップがないと黙らない。










地獄










なんて鬱陶しい奴なんだろう……?
あまりの鬱陶しさに図らずとも鬱になってしまいそうだ。










さん!僕にその手を握らせてください……!!』





『キス……奪っていいですか……?』










そして今日は遂に……





さん!その太股を僕に撫でさせてくださいっ……!!」










……。
今日ばっかりはもう許せない。
怒り狂ったあたしが彼に行ったことは





スカートめくってかわいく『はいどうぞ』なんてことじゃなくて……




















地獄絞




















「触れるもんなら触ってみやがれっ!!」





言葉とほぼ同時に技をかける。 ウッという低いうめき声がその後すぐに耳に入った。 そしてその声は間違いなく彼のもの。





「骸!もうそんな変態なこと言わないって約束できるなら放してあげてもいぃ……いやっ!!」





思わず耳を覆いたくなるようなエロティックな声が自分の口から出てきてしまった。
なぜなら彼があたしの脚を撫でたから。
彼は何食わぬ顔であたしの方を見て





「どうしたんですか?絞める手、緩められていますよ……?」





と言いながらもう1度骸はあたしを撫でる。
再度漏れる声。
焦るあたし。
余裕綽々の彼。





「何てことしてんのよ!?」





当然のことながらあたしは怒る。 けど肝心の身体に力は入らない。 彼はあたしの言葉を受けて疑問符を浮かべている。





「何てことって……言った通り、 さんの太股を撫でさせてもらっただけじゃないですか。」



「そんなことわかってるわ!あたしが聞いてるのはそんなことじゃない!」



「あぁ。理由の方ですか?そんなことはさっき言いましたよ。
 撫でたいから撫でるんです。 さんの太股撫でたい、ってだから言ったでしょ?
 すべすべしててとても気持ちよかったですよ。」



「なっ!?」





あまりの気持ち悪さに反射的に絞める力を強くする。
それでも相変わらず涼しい顔の骸。
脱力するあたし。
馬鹿馬鹿しくなってきて思わず彼を解放する。
彼に構っている方が、彼に構われるよりもずっと疲れることを学ぶ。










その後に聞こえたのは 残念 、という信じられない台詞。










今度犬にでもやり方を教えて、代わりにやってもらおうか……?





あたしは一瞬本気でそう考えたけれど、あたしはきっとできない(というよりしない)だろうなぁ、 と疲れて上手く働いてくれない頭で思った。










だって残念ながらあたし、もったいないなぁとか頭の片隅ででも思っちゃったんだもの。