彼方の影すら映さない……。




















罪と罰




















骸たちの姿が見られなくなってから数週間がたった。
学校は恐怖から解放され、中途半端な不良たちが再び謳歌し始めた。










そんなことはどうだっていい。 彼らがいなくなって、 代わりに独りぼっちになったあたしへと彼らへの不満を向けることだって同じ。 どうでもいい。
だって彼らが来る前に戻った、ただそれだけのこと。 この苦しみは幸福の代価。 ただそれだけのこと。




















ただ1つ思うのは、骸たちに会う前は苦しみなんて感じることはなかった。 だって、今みたいに孤独じゃなかったから。




















だってそうでしょう?





孤独って愛を知らなきゃ感じられない。










彼らに会う前のあたしには、他人と一緒にいる意味、価値を見出すことはできなかった。
彼らはあたしに光をくれた。
それだけでも幸福なことなのに……。




















永遠を信じた罪への、これは罰なんだ。
それならあたしは罪を償う。罰を受ける。






























「「あっ。」」





間抜けな2人分の声が人気のない道に響いた。 犬やあたしとは違って越えこそ上げなかったものの、 千種も口を開けてポカンとしている。





「何で今 がここにいるびょん!? 学校、授業中じゃねぇ!?」



「犬や千種こそ……!! 何で……学校来ないのよ……。
 あんたたちが来ないからね……学校、全然おもしろくないじゃん。
 ねぇ、それより何で2人なの!?骸は!? あんたたちまだ足で使われてるの!?」





冗談のつもりだった。
けれど骸のことは2人にとってはタブーだったらしく、 顔を見合わせたかと思うとバツが悪そうな顔をして、俯いてしまった。





「おっお前には関係……ないびょん!」



「説明すんのめんどい。」



「なっ……!!何よ!!あたしたちの仲じゃない!!」





再度2人は顔を見合わせた。 バツが悪そうな表情は変わらない。
意を決したように犬が口を開く。





「む……骸さんはここにはもう……いないびょん。」



「えっ……。それ……どういうこと……?」



「ここから先は話すわけにはいかないびょん。」



「ちょっ……!!」





とまってよ。
という言葉は地面にポロリと落ちて砂埃にまみれた。
犬と千種はもう背を向けて歩き始めていた。





あたしはまた独りぼっち。






























彼を……骸を求めていたのに口に出せなかった。
それが罪。
彼のことを求めても姿すら見えることがない。
それが罰。




















愛している





独り泣き喚いて夜道を弄れど虚しい。




















さようなら。



こんなにも彼のこと、愛していた自分。
そう言えれば少しは癒えるだろうか……?




















IMG SONG 罪と罰