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まずはよかった。と一言。 長かった受験がどうにか幕を降ろしてくれた。 実際諦めかけたこともあったし、どうなることかと思ったけれど、人間死ぬ気でやれば大概のことはなんとかなることなのかもしれないなぁ。 事実、オレはリボーンに何度も叱咤激励、時には愛の鞭なる暴力 (今でも思うのだが、アレは全てオレのためってわけではなさそうだ。若干ながらもリボーンのストレス解消も含まれているだろう。) を受けながらも、どうにか無事大学合格をオレは果たした。 これを手放しで喜ばずして何を喜ぶんだろう? ♪〜 ケータイが鳴る。 こんなに嬉しい気分でいっぱいだったはずなのに、急にテンションが下がったのは何でだろう……? すごく嫌な予感がする。(……超直感?) 『ツナか?』 リボーンの声がぼうっと響く。 その瞬間、オレはあぁ。と妙に納得した。 なるほど。オレは間違っていなかった。 「オレだけどどうしたんだ?」 『まずは合格おめでとう。』 「ありがとう。」 あれ?とオレは思う。さっきの予感は勘違いだったのか?と。 けれどもまだ嫌な感じは完全には拭えない。 『お前、こっちにはいつ来るつもりだ?』 こっち、と聞いてオレは一瞬戸惑う。 そしてその後、リボーンが急な私用でイタリアへ一時帰国していたことを思い出した。 「6月の語学学校に合わせて行くつもりだけど……。」 『じゃあそれまではどうするつもりだ?』 「どうするも何も、まだ合格決まってホッとしているだけだってば。」 それがどうした?とオレが聞く前に、リボーンはよし、と言った。 「え?」 すごく嫌な予感がする。 『じゃあお前、高校卒業したらオレんトコに働きに来い。』 「は?」 『シチリアのチェファルーだ。ホテルだぞ。寝食困らねー。』 「は?」 『家光にはもう了承はとってある。ツナな拒否権はねーからな。』 「父さんに!?え、ていうかもう許可とってあるって……!?」 『ママンにはオレが今から連絡しとくからな。チャオ。』 ブツッと強引に電話が切られると、オレのケータイはツーツーという虚しい音を鳴らした。 それとは対照的に、家の方の電話がけたたましく鳴る。 母さんが誰かしら?と言って慌ただしく出る声が聞こえた。 |