「カスザメ。仕事だ。」





ボスが乱暴に今回のミッションについての詳細が書かれた紙を乱暴にオレに渡す。 (オレにちゃんと紙を手渡す幹部はルッスーリアくらいのモンなんだから、ホント情けないったらありゃしねぇ。)





「今回は何だぁ!?」



「うっせぇカスが。てめぇはサメのクセに犬みてぇにギャンギャン騒がなきゃいられねーのかよ。」





ボスがイライラしながらそう言った瞬間に、オレの顔の横を万年筆が音速じゃねぇかと思うような速さで通り抜けた。
……いや、通り抜けたなんて生っちょろいもんじゃねぇんだけどよぉ。 鈍い音をたてて万年筆は壁に突き刺さったんだけどよぉ。 (ありゃベルフェゴールのナイフとかなりいい勝負だったんじゃねーかと、個人的にオレは思う。)
ボスは自分の執務室の壁が破壊されたことなど気にしていないかのような素振りだ。





「今回の仕事はシチリアだからな。」



「それがどうしたんだよ。」



「あんまりゾロゾロ行っても怪しいからな、ルッスーリアと2人、少数精鋭でやれ。」



「……よりによってあのオカマとかよ。」





どうせシチリアに行くなら、仕事じゃなくてかわいい女でも連れていきたいものだとオレは思う。
……生憎今はそういう女はいねぇけどよ。
つか男2人でシチリアって、そっちの方が余計に怪しくないか……?





「いいじゃねぇか。ルッスーリアと2人なら、周りからはカップルだと思われるんじゃねぇか?」



「ざけんな。」





あんなゴッツイ女がいてたまるか。





「勘違いすんな。」



「は?」



「テメェが女でルッスーリアが男だ。」



「ざけんな。」





オレはそれだけ言って乱暴に執務室のドアを開ける。その瞬間もう1度壁は鈍い音をたてた。 嫌な予感がして、オレはそうっとオレの真横を見る。
予想通り壁には万年筆が2本突き刺さっていた。
……何本万年筆持ってやがるんだ、ボスさんよぉ。





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