「話になんねぇ。」





頭にきた。
オレは荷物まとめると家を出た。
母親の狂気染みた声と父親の怒鳴り声がオレの耳に不愉快な雑音として届く。
反抗と言わんばかりに、オレは足で乱暴にドアを閉めて出た。




















軍を出たことを報告するだけのつもりで来たはずが、何でこんなことになってんのかイマイチオレにはまだ理解出来ずにいた。
……つーかよー、父さんも母さんもオレが軍に入るっつったときも猛反対しときながら、やめるときも猛反発ってどういう風のふきまわしなんだコラ。
しかもいつの間にか話がオレの言葉遣いだとか品格だとかになっちまってるし。
だいたいオレに貴族っぽく振る舞わせようとする方が無駄だろーがコラ。




















ついこの間軍を出たばかりのオレは、当然寮の自室も引き払ったばかりで、 再就職先と新居も実家に帰ってからゆっくり探すはずだったのが、ものの見事に計画が狂ってしまった。
デカいわけでもないが、それなりに邪魔な荷物を持って、オレは途方に暮れる。
宿無しの無職。
ついでに言うと、こないだライフルを新調したせいで貯金もあんまりねぇ。
手元の金もそんなに大した額じゃない。










……。










こんなときに使えるのはパシリだな。
オレはそう思ってスカルに電話をする。5回目のコールで電話にやっと出たスカルに向けて、オレは一言「おせぇよ。」とだけ言った。





『……何なんですか、突然。どうせまたろくなことじゃないんでしょう?』





身構えるような刺々しい声をスカルは出した。
まるでさっきのオレの両親みたいだな、と感じてオレも苛立つ。





「パシリに何がわかんだコラ。それよりスカル、お前ん家に今日泊まらせろコラ。」



『何無茶言ってるんすか!やめてくださいよ。』



「これはお願いじゃねぇ。命令だコラ。」



『残念ですがオレは今もうバカンスに出ていてしばらく家に戻らないんです!』





命令だろうが何だろうが無茶なもんは無茶です。と言うと、 いつになく強気なことに、スカルはオレの話が終わってねーっつーのに勝手に電話を切りやがった。





……このヤロー。
今度会ったらただじゃおかねーぞコラ。
オレはこの手はできることなら使いたくなかったんだが、背に腹は変えらんねー。
仕方なくアイツに電話することにする。





「もしもしリボーンか?オレだオレ。コロネロだ。」





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