珍しいことに親方様から真剣な表情で「バジルに話がある。」と言われました。
拙者も真剣に応じなくては!と思ったら、次の瞬間には親方様の表情は驚くほど崩れて嬉しそうになっていて拙者はびっくり。





「オレ、しばらく休暇取ったからお前も休んでいいぞ。後のことは全部オレガノとターメリックに任せてあるし。」



「本当ですか!?」



「あぁ、ホントホント。オレ、ナナと2人夫婦水入らずで温泉かどこかへ行こうと思って休暇とってな。」





羨ましいだろー?と言って親方様は更に表情を崩された。
これも『のろけ』とでも言うべきものに入るのでしょうか……?





「え、それじゃあ拙者は如何いたしましょうか……?」



「えっ?だから言ったじゃないか。バジルもついでに休み取っといてやったぞって。 だからバジル、お前も好きに過ごしていいんだぞ。」



「えっ……しかし拙者も休暇なんてものは久しく取っていない故どうしたらいいのか……。」





よく思い返してみると、拙者は親方様の元に弟子入りしてからというもの、ずっと修行か仕事の日々だった気がする。
親方様のご子息の綱吉殿の様に学校に通い、年に数度の長期休暇を過ごすなんてこともなく、これまで生きてきたのである。
こうなっても仕方ないのではあるまいか……?





「仕方ないなー……。」





親方様はポリポリと頭をかきながら呟いた。
……というか発言がシンクロ……?





「バジル、綱吉のトコ行っとけ。」



「はい?」



「いずれお前たち2人は一緒に働くことになるんだから、これを機に仲良くするのもいいだろう。」



「はい?」



「確か本土の大学に通ってるんだったな。連絡取っておいてやるよ。」



「はい?」



「多分寝食の心配はいらねーからな。」





拙者の知らないうちに話が進んでいきそうで若干怖いです。





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