午後イチの授業というのは非常にやる気が萎えている時間帯だ。理由は簡単。 眠いから。以上。 そういうわけだから普段は居眠りだ、なんだってするわけだけど、今日は眠れない。 あまりに退屈な授業なのに内職もする気が起きないもんだから、やることなくってぐだぐだしてみる。 なんて怠惰。 そんな風にだらだらしていたら、ふとした拍子にあたしはブレザーの下に着ていたカーディガンの袖口に、小さな肌色の点をを見付けてしまった。 それは点ではなくて、多分長く伸ばした爪か何かに引っ掛けてしまったせいでできたみたいな小さな穴。 人差し指の爪の辺りまで入るか入らないか位の穴が空いてしまっている。 ……入るのか?人差し指。 そんなかんなりくだらないことでも、一度考え始めてしまうと、 穴が拡がる可能性だって大いにあるってわかっていたとしても通してみたくなってしまうのが人間の性というものだ。 それは当然のことながらあたしも例外ではない。 ということで、早速 えいっ。 びりっ。 ……。 結論:通らないけど通るようになる。 恭弥にそうやって話したら、恭弥は久方ぶりに (とは言ってもついさっきなのだが、ただ単にあたしにはそのほんの短い間が永遠にも感じられたっていうことの喩えだよ、喩え。) 風紀委員の仕事の書類から顔を上げた。 相変わらずのむっつり顔 (あっ、くれぐれも変な意味の方じゃないですからね!変な意味じゃ!! そんなことを平気で言ってたら、あたし今頃恭弥のせいでお空のお星様になっちゃってるはずだから。) で、あたしを睨む。 「…… 、君本当はバカなんじゃないの?そんなこと言ってないで新しいの買えば?」 みっともない。と最後に責めるようにそれだけ言うと、恭弥はまた書類に視線を戻してしまった。 「……。(うぅっ……。恭弥、冷たい。)」 いいんです。いいんです。あたし縫いますから。 あなたみたいに坊っちゃまじゃないですから。 あれ、あたし一応女の子だからお嬢ちゃん……? ……まぁいいやそんなこと、めんどくさい。 とにかく貧乏人はリ・ユース☆★しなきゃいかんのです。(…) 困ったなぁ。あたし裁縫苦手なのに。仕方ないから恭弥の玉の輿でも狙うか。 |