朝、気分が乗れば学校に行く途中に迎えに行ってやってみたり、特に用事がないときの放課後には一緒に街中ぶらぶらしながら家に帰ったり、 まぁそうだな……後は何だろ?キスしたりセックスしたり、 なんつーかその…… とは世間一般的な青春(……今性春だなんて考えた奴果てろ!/赤面←実は自分だったりする)を送っている。 『簡単に説明するとね、あたしたちって上っ面、みてくれだけの付き合いだったのよ。』 オレの部屋でセックスした直後、荒い息を整えるとベッドに寝そべったままで は呟くように言った。 まだヤッた後の臭いが部屋には漂っていて、頭はぼーっとしている。 当然オレの思考能力は低下中。 はっ?と状況を理解していないオレの思わず漏らした声を聞くと、 はだるそうに上体を起こした。 靴下だけ脱がし忘れたのが、ダサい。が、えろくて、生々しくて、オレにはその の肌の白さが眩しかった。 「隼人、あんたってさぁ、やっぱり勉強できても馬鹿なんじゃない?」 はそう言うとベッド横に置いてあったオレのタバコとライターに手を伸ばしかけて、やめた。 「面倒だし簡単に言うね。あのね、隼人。もうあたしたち、別れよう。」 の小さな口から飛び出したのはオレが想像したことがない現実で、だからなのか、 それとも がその現実を"たいしたことじゃない"と思っているからなのかはわからないが、 とにかく軽く、まるで綿菓子みたいに聞こえた。 あっ、まだ色気を帯びているせいで甘く聞こえたというのもあるかもしれない。 「何で突然……?」 オレは妙に嘘っぽく聞こえたからか、軽く聞き返してしまった。 「またまたそんなこと言ってー。ホントは気付いてたでしょ?だってほら、あたしたちの関係ってすごく薄っぺらいんだもん。紙みたい。」 どうせアンタなんかにはわからないでしょうが、という含みがあるのが読み取れ言い方で、 は淡々と言った。 というかむしろ棒読み。それも下着に手をかけながら。 それに比べてオレはなんて間抜け。まだ、状況を飲み込めず、呆然としているだけ。 そうしている間にも の身体は布を纏っていく。 「恋愛に求めてるモノが違うのかなー。」 ぼやくように言うと、 は並中の制服のブレザーを羽織った。着替え終了。 オレはまだ、裸で、間抜けで。 「なんていうかさ、ありきたりな、劇……?しかもB級って感じの。チープな恋だったわ。」 自分の煙草を握り潰し、ライターと一緒にゴミ箱へポイ。カラン、という渇いたライターのゴミ箱の底に当たった音はそれはそれは無機質。 「隼人はさ、あたしのこと何か知ってるの……?」 鞄を持って、 はオレに背を向けた。 「……あたしね、本当は煙草なんて大嫌いなの。」 それこそ全部焼き捨てたい位に。 そう呟くと、わざと気丈に振る舞うみたいに、1度も振り向かず、いつもよりゆっくり、重い足取りで は部屋を出て行った。 |