From Me To You










いつもすぐに返ってくるメールの返信が、今日に限ってまだ帰ってこない。










ディーノに最後にメールを送ったのはもう3日も前になる。 いつもは3分もすれば帰ってくるから、あたしの不安はどんどん大きくなっていっている。





『うわっ、ウザい女!!』





とか思われたら、と思うと次のメールも送りたくても送れない。
でもね、送っちゃおうかな、ともやっぱり思ってしまうんだよね。 だって、やっぱり3日って長すぎるよ! 確かに今回の仕事はイタリアでだけど、 すぐ帰るから心配なんていらない、って言ったのは他ならないディーノだった。
もしかしたら、あたしのことをキープしていながら (もしかしたら捨てるつもりなのかもしれない!!) イタリアの金髪美人を仕事がてら捕まえに行ったのかも……!!










仕事なんていうのは口実にすぎなくって、 むしろ恋人探しが真の目的!っていう可能性もないなんてあたしには言えない。




















考えれば考えるほど落ち込んでいく。 悪い考えばかりが浮かんでいく。










本当は思い浮かんでは消えていく、と言いたい所なんだけど (言えるとするのならそれはどんなに楽なことだろう……?) 生憎、消えて行ってはくれない。
積もり積もっていくばかり……。




















はぁ、と思わずついてしまった溜息。 別に溜息が場の空気や状況を良くしてくれるなんて少しも思っていない。
けどこればっかりは自然と出てきてしまうんだ。










涙が溢れてこなかっただけまだマシ。あぁよかった。
そんな風に言ってしまえばそこまで。




















そう考えた後、どの位だっただろうか?
時間の感覚なんて哀しみのせいでおかしくなってしまっていたから、 そんなこと今のあたしにはさっぱりわかんない。 とにかく日が暮れるまでずっとケータイを眺め続けていたんだ。










そして久しぶりに意識して行った瞬きをした次の瞬間、 サブディスプレイがチカチカとピンク色に光り始めた。





――――ディーノからだ……――――





すぐにケータイを開いてメールを見る。





『今家にいるよな?』





慌てて返信する。
1分と待たずにメールは帰ってきた。





『今から のトコ行くから。』





彼はいつでも急な男だということをあたしはすっかり忘れていた。
いらない、くだらない詮索をしている間に出迎える支度でもしておくべきだったのだ。
すぐにメールを返して掃除機を手に取ろうとしたしたそのとき……










ピーンポーン










ありきたりなチャイムの音が鳴る。
まさか……。
嫌な汗をかく。
そう。彼は急な男なのだ。










扉を開けると 赤薔薇愛する男




僕から君へのメッセージ





そう言って彼はあたしの手の甲に紳士らしくキスを落とし、プラチナのリングをはめた。










With Love From Me To You!!




















IMG SONG:FROM ME TO YOU