あたしはこの春無事高校を卒業。 9月からは晴れて大学生となる。 えっ……?何で4月からじゃなくて9月なのかって……? えへへ……。(キモイ) 実は彼を追いかけてイタリアへ留学するんです。 ゴガクリュウガクってことに表向きはなっていますが、 実際は(あたしが勝手に言ってるだけだけど)花嫁修業ですっ……!! えっ……?それでその彼がどんな人かって……? えへへ……。(再度キモイ) そりゃあもうダーリン(いつもはそんな風に呼べ……じゃなくて呼ばない)は素敵な方よ! イタリア軍に勤めているんだけど、ほんっとうに強い人らしくって将来有望!! 親友は『ひっとまん』で、後輩は『ぐんし』なんだって!! 何かよくわかんないけどすごいでしょ!! (それであの2人は結局何してる人なのかな……?) まぁそんなこと言ってるあたしは愛のスナイパーだけどね☆★かっこいいでしょ? ……うん。今バカだと思ったでしょ? いいのいいの。だってあたしどーせバカだもん。 そうだ!!あたしってばコロネロの自慢話しに来たんじゃないじゃん!! それでね、今もうこの季節でしょ? あたしは最低4年はこっちに帰ってこないわけでしょ? (まっ、あわよくばあたしはイタリアに永住するつもりだけどね!!) ってことはジャパニーズフラワー・桜も見られなくなっちゃうってわけですよ。 ねっ?これって何だか淋しいと思わないかしら? ……とりあえずあたしは淋しいと思うわけなんです!! だからコロネロを 「21日って空いてる?」 「リボーンの野郎共と打ち合わせだ。」 「じゃぁ22日は?」 「平日だから仕事だろ。」 「……じゃあ25日。」 「その日は引継ぎのおかげで休日出勤。」 あたしは当然のことながら機嫌を悪くする。 コロネロはそれを見てチッと舌打ちをした。 「さっきから一体なんだコラ!! 用事があるならさっさと言えばいいだろ!!」 「コラって何よ!あたしは花見、したいだけだよ……。早くしないと……散っちゃうし。」 しばらく見れないでしょ?と聞く頃にはコロネロはもうすっかり黙っていて頭をかいていた。 バツが悪そうな感じ。 あ゛ーと変な叫び声みたいなのを出すと、わかった、と言った。 わかったって何よ。まさか仕事休むの? んなわけないだろ。俺に全部任せとけ。 はっ?意味わかんないんだけど。 まぁ日が決まったらオレの方から電話するから待っとけ。 ……。 時の流れははやいですね☆★ ……じゃなくて!! あれからコロネロからの連絡は、ない。 酷い。嘘吐き。バカ。アホ。(……) 悲しくていくらでもそういう言葉は出てくる。 でもそういう言葉が頭に浮かぶ度に何だか虚しい気分になった。 けれどもあたしは彼のこと、信じることにして (だってバカなんだもん。バカだと思われたって構いはしない) 1人ケータイを片手に待っている。 あーもうダメなのかなぁ……。 仕事、終わんなかったのかなぁ。 あたし、あんな贅沢言わなければよかった……。 ♪〜♪♪〜 「えっ……?」 諦めかけていたから頭の中は混乱。 アレ、バイトサボッタリシタッケ? ドウソウカイとかナカッタハズナンダケド…… ナナエトアウヨテイトカアッタッケ……? コロネロからだと気付いてからあっ、と小さく叫んで出る。 「もしもし。」 『遅ぇ。』 「遅いって何よ!自分の方が遅かったクセに。」 『悪ぃ。』 「何よ!その言い方は!!」 『わかったわかった悪かった。今日の6時半頃 ん家に迎えに行くから待ってろ。』 「えっ!?」 『6時半に家で待ってろっつっただけだコラ。』 「えっ……あっうん。わかった。」 たったこれだけのことで幸せになれるあたしってやっぱり安い女なのかなぁ……? 「おい、行くぞ。」 コロネロは約束の時間の10分前に家にやってきて玄関先で大声で言った。 そんなぁーまだ用意できてないよー。 「ちょっと待って!」 「じゃーきゅーはぁーち……」 「わぁかったってば!」 コロネロに手を引かれて駐車場へと行く。 乗った途端に急発進。 相変わらず荒い運転だなぁ、と呟くとうっせぇ、と返された。 っこっからは歩きだ、とコロネロは言うと、ドアをバァンと音がするほど強く閉めた。 えぇ!?ここ登山口ですよあたしそんな山登りする体力なんてとてもないですよ勘弁してくださいー というあたしの言葉を無視してコロネロはどんどん進んでいく。 その歩く速さがはやいもんだからあたしは遅れる。 それに気付いたコロネロは立ち止まって振り返るとあたしを待つ。 追いつくと「ん。」と言ってポケットから右手を出してあたしに向ける。 あたしはそれを離さないようにギュッと強く握った。 「なっ?オレ、こっちの方が の考えてた花見よりずっといいと思うぜ。」 あたしは声を出せない。 なんてきれい、なんだろう。(きれいなんて言葉で括ろうとする方が間違ってると思わせるほどだ) 満開の時期を終え、少し散り始めている。 夜空の濃紺に淡いピンクが映える。 「こういうのを風情、って言うんだろ?」 と言ってコロネロは腰を下ろした。 あたしも彼の隣に寄り添うように腰を下ろす。 ふわり また桜の花が花弁を落とす。 またきっと……いつか…… |