♪〜♪♪〜





着信に過敏に反応。
けれど受信ボックスを開ければそれはメルマガだった。




















はぁ……と思わず大きな溜息を1つつく。
彼以外のメールを待っているときでも凹む出来事なのに、 今は彼からのメールを待っている、その凹み方は尋常じゃない。
元々彼はそんなにマメな方じゃないってわかってるんだけど、毎回心配になってしまう。
だって彼、危険な職場でしょう?
マフィアとか普通に関わってるし、親友は殺し屋だし…… っていうかそもそも彼自体軍人だしっ!!
だからいつも危険な目に遭ったんじゃないかとか考えちゃう。 考えちゃいけないってわかっていても、 駄目な私の思考回路は自然とネガティブな方へと繋がる。






























「あっ夕ご飯作らなきゃ……。」





思い出したように私は呟くとキッチンに立った。
彼には今日はパスタが食べたいと言われていたから、 冷蔵庫の中を見ながら何のパスタにするかを考える。





ボロネーズ、ゴルゴンゾーラ、ナポリタン、コロネロ、クリームソースetc……





……ってコロネロ!?





もうメニューを考えている時でさえも彼のことを考えてしまう始末だ。
私を構成しているのはリンとかマグネシウムとかナトリウムとか水とかなのかもしれないけれど、 私の思考回路は100%コロネロで構成されているに違いない。






























「痛っ!!」





メニューを決めたと思ったら今度はこれ。
指を切ってしまった。 赤い血が滲む。見ていると余計に痛くなってきて、ズキズキと疼いている。

指だけじゃない。

彼がもういつもなら帰ってきている時間だというのに帰ってこない不安によって、胸だって疼く。





怪我してたらどうしよう。
浮気してたらどうしよう。
事故に遭っていたらどうしよう。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。










頭の中を何度も何度もグルグル回る。






























「ただいま……って 大丈夫か!?」





しゃがみ込んだまま動かない私と 残骸だらけのキッチンに驚いたコロネロが私の前に立つ。
ぽろぽろ涙を零しながら私はゆっくりと顔を上げる。
すると彼はそっと私の額に口付けた。
もちろん私は安堵のせいで放心状態。
コロネロは、よっ、と言って両腕を持ち上げて、私を無理やり立たせた。





「どうしたんだ……?」





心なしかいつもより優しげに言う彼。





「……メール」



「えっ……?」



「……メール、見た?」





私が言い終えると彼は慌ててポケットを探り、 ケータイを取り出して開くと、あっ、と小さな声で呻いた。





「……心配かけてすまなかった。」





ケータイを片手にバツが悪そうに言う彼。
何てしょうもないことを言ってるんだろう……?と 自身に恥ずかしくなって俯く私。





「……ううん。コロネロだって忙しいもんね。
 でも、次から気をつけてね。」





私はにこりと笑って残骸ばかりのキッチンへと戻る。
食事の準備が出来るまでまだ時間がかかるだろう。





「コロネロ。悪いんだけど夕食の仕度まだできてないから先にシャワー浴びてて!」



「あぁ、わかった。」





パタンとケータイを閉じるとすごすごと消える彼。
……私、大袈裟過ぎだ……。
まな板と包丁を目の前にしてまた落ち込む。
と、そのとき……





♪〜♪♪〜





今はケータイなんて見たくない気分だというのにメールが届いた。
あーぁ。
ふう、と小さな溜息を1つついて私はケータイを見る。










題名は面倒くさがりの彼らしく Re:










本文にはごめん。と、


愛してる 、不安にさせてごめんな。の文字。