「オレは弱い人間だな……。」





スカルはあたしの膝枕で寝そべりながらそう呟いた。 また仕事で何かあったなぁと思って「どうしたの?」って聞くと、スカルは例に漏れず、何でもない。とだけ言って、
まるで無理矢理眠ろうとするみたいにまぶたを閉じた。




















膝にある心地よい重みを感じながら、無防備に投げ出されたか細い腕に触れる。 あたしよりも細いんじゃないだろうかと思えるその腕はごつごつと骨っぽい。 こんなので軍師なんてできるのだろうか……?と思うのだが、スカルはいっぱしの軍師らしく、いつもどこかのファミリーと契約している。 スカルがそんな人間だとはあたしには到底思えないのだけど。
だってこんなにも人を傷つけることを恐れている彼、が。





まさか!!





あたしは否定したいだけなのかもしれない。
スカルは殺しなんてする人じゃないって。





だってスカルはこんなにもあたたかくて臆病だ。 今あたしはこの身体で、身を持って感じている。スカルは血の通う人間だ、って。





ぴくり、と微かにスカルは動いた。そして、きっちりと閉じたまぶたから雫が落ちる。澄んだ涙。
あたしはきっとスカルが死んだらこんなきれいな涙を流せないと思う。 だってあたしはスカルを傷つけるもの全てが憎くて。仕方ない。
きっと彼を死に至らしめたもの全てを破壊しつくすんじゃないかと思う。
その位。だ。
あたしはもう彼なしでは生きられないのかもしれない。










「なぁ、1つだけ聞いていいか?」





スカルは未だに目をつぶったままであたしに言った。
そして、ごしごしと、涙で濡れた目をこする。 真っ黒の服の袖はもうこれ以上の黒はないだろうという色だったのに、雫によって更に深い黒に染められた。





「何?仕事のこと?」





ううん、とスカルは首を微かに動かす。





「お前はさ、ずっとオレの味方でいてくれるかなーと思って。」





そんなの決まってる。と言う前にあたしはスカルの口を塞いだ。










君縛り










もう、哀しい君を離したくない。