雲雀ぃー!!あたしはこんなにこんなにあなたのことが好きなのにどうしてあなたはあたしの想いを無視するの……?




















「……でさぁそんなこと言わないでしょって感じじゃない……? あたしもうほんっとにおかしくって……。」



「ふぅん。」





期のない様子で雲雀は黙々とペンを走らせている。 たまにチッとか舌打ちしてみたりしていて、とても苛立っているみたいだった。 ついにはケータイを取り出して「もしもし草壁……?」なんてあのステキリーゼント(もちろん皮肉よ)に電話し始める始末。 ほんっとにふざけないでよ。





彼はあたしのことなんてどうでもいいみたいに放置。 えっ何?これ新手のプレイですか?みたいな。










「……ねぇ、雲雀。さっきからうなずいてるだけだけど聞いてるの!?」



「聞いてるよ。」



「じゃああたしはさっきなんて言ったの。」



「……。」



「……何?……ほうら。やっぱり言えないじゃない。雲雀のバカ。」



「あのさ、僕は今風紀委員の仕事で忙しいんだから黙っててよ。あんまりわずらわしいといくら女だからって噛み殺すよ。」





ジロリとあたしの方を睨む雲雀。 あんまり恐かったからあたしは思わず俯いてしまった。 ちょっとだけ目が潤んじゃって、あたしは何で好きな人の前でっていうかむしろ好きな人に怒られて目の前で泣いてるんだろうって考えちゃって、 馬鹿らしいって思ったらもっと泣けてきた。
うわ。ありえない。雲雀のバカ。もう死んじゃえ。
心の中で毒づく。無駄っていうのはわかってるんだけど。










「あのさ、泣くんなら出てってくんない?ほんと君、鬱陶しいんだけど。」





ペンを置くと、雲雀は苛々とあたしに向かって言った。 あたしの身体は一瞬硬直した。 頭ん中もすっかりフリーズしていてわけわかんなくなってしまっている。





アノサ、ナクンナラデテッテクンナイ?ホントキミ、ウットウシインダケド。





壊れたみたいに何度もその言葉が阿多真ん中で繰り返し流れる。





「失礼します。委員長。」





2回のノックの後に礼儀正しく草壁副委員長が入ってきた。 あたしはもうとにかくこの場から逃げ出したくて、一直線に駆け出した。










Haze










彼といられたことっていう事実はまるで霧みたいにあたしの目の前からなくなってしまった。
なんだ、あたしバカじゃない。遊ばれただけよ、こんなの。
期待して損しちゃったわ。ハハハハハ。笑えない。