「お前に花なんて似合わねぇぞぉぉ。」





背後から声が聞こえた。 振り返ると底にはスクアーロが立っていた。 いつものように服には血がついている。 乾いているみたいだから遠くまでまた強い剣豪を探しに行って、倒して来た帰りだろう。 全く、無茶苦茶な奴だ。





「着替えてないってことは今日は日帰りだったわけ?」





摘んでいた花を眺めながらあたしは言う。 あたしには野草ですら似合わないというのか、と思うと少し悲しくなった。 まぁ野草といえど、かわいらしいとあたしは思うし、あたしは自分のことをかわいらしいなんて微塵も思っていないわけだから 当たっていないかと言われれば当たっているのだろう。





「そうだ。一度宿舎にはもう戻った。」



「ならその血のついた服装のままウロウロするなよなぁ。」





無愛想な返答には無愛想な返答でのぞむ。
ハンムラビ法典だったっけ?目には目を、って奴。





「誰かさんが宿舎にいねぇからわざわざ捜しに来たんだぁぁ。」



「誰、それ。とりあえずあたし今日ここには1時間位前に来たんだけど、その間に学校の子には誰にも会わなかったわ。」





残念ながらお力添えにはなれません、と言って振り返ると、スクアーロは案の定不機嫌そうな表情で突っ立っていた。 うわぁ、本当に切り殺しにきそうだなぁ、なんて思わず考えてしまう。 ……って言ってもあながち冗談ってわけでもないでもない所が彼の怖い所だ。
久しぶりに宿舎に来たかと思えば、群れてた連中の親玉を斬った。 暴れるのは勝手だけど後始末位ちゃんとしてほしいものだ、なんて今思えばズレた怒りを彼に向けていたのはつい数日前のことだ。





「いや、もう見つけたからいいんだよ。」



「あぁそう。それならその子の所に行っときなよ。」





邪魔しないから。まだあたし花摘んでるから、と言うと彼は首を振る。





「もうきてる。」



「はっ?どこにいんの?」



「ここだよ。」



「だからどこ!?むしろ誰!?」



「お前だよ。」



「え……?」



「お前を、捜してたんだ。」




そう言ってスクアーロはあたしの手を取った。 驚いた拍子にあたしはせっかく摘んだ花を手放してしまった。 飛んでいった野草の花束はすぐ側を流れていた川に落ちて花弁を散らした。





「きれい。」





そう思わず呟いたあたしに向かって彼はお前の方がな、なんてくさいことを言った。
バカ。
黙って立ってりゃかっこいいのに一言余計なの!!










Bloom










でもそんなあなたが好き。