屋上で授業をエスケープするっていうのは最近のあたしの定番、っていうかむしろ日課。 そしてあたしがここに来るときはだいたいかれもここにいる。 今日もホラ、タバコをくゆらせて黄昏れている。 不毛な恋に身を焦がしている切ない男の図、みたいな感じだ。(オエーッ!!) 「獄寺君てさぁ。」 「何だよ。」 突然話し掛けたのが気に入らなかったのか、もしくはあたしなんかに話し掛けられても興味なんてまるでないのか、 そんなことは定かではないが、彼はとてもめんどくさそうに返事をした。 相変わらずというか彼らしいというか……なんだか軽く腹立つ。 からかってやれ(っていうか実は話し掛けた時点ですでにその気なんだけど) 「ひょっとしてホモ?」 「はぁっ!?」 ななな何言ってるんだ!?と獄寺は顔を真っ赤にして怒る。 俺にそんな趣味はねーっ!!だってさ。 予想以上にいいリアクションをしてくれたことにあたしは満足する。 それと時を同じくしてふーん、自覚症状ないんだ。可哀相に、なぁんてことも思った。 「お前十代目のこと言ってるのか。」 「もち。あっ、でも山本ってのもアリだね。文句垂れながらでも、あんんたちってなんだかんだで一緒にいるじゃん。 あとね、トムとジェリー的な要領なんだけどさ、喧嘩するほど仲がいい、みたいな?」 ヘラリと笑いながらあたしは言った。案の定機嫌は悪いようでチッと舌打ちをしてタバコを手放した。 今はもう彼の足の下にあるそれは、名残惜しいのか、しっかりと火は消されたというのに、いまだに細い筋を空に描き続けている。 それをぼんやりと眺めていると、彼はおい、とあたしを呼んだ。 無視するのは悪いと思って彼に顔を向けると、あっという間に彼の顔が来た。 そしてそのまま彼はあたしに口付けたのだ。 唇を離すと、誤解、解けたか?だって。 別の誤解しちゃうじゃん、バカ。 |