もう予定の時間を30分近く過ぎているというのに、雲雀恭弥は約束した時間、場所である今、ここに来る気配を全く見せない。
コーヒーはすっかり冷めていて、香ばしさが逆に今のあたしにとっては不快感を与える黒ずんだ液体に成り下がっていた。 口に含んだ瞬間、あたしは眉をひそめてしまった。
そしてふーっと息を吐き、それから壁にかかったアンティークの掛け時計に目をやり、もう少し彼、雲雀恭弥のことを待つべきかあたしは思案する。





前のデートはどんなだっただろう……?その前は?その更に前は……?





どれだけ思い返してみても日中に会っている場面は現れなかった。 夜、食事をして、ホテルに行って、それで、お仕舞い。 たとえ日曜日であっても日中であれば会えないのだ。





つまり、そういうこと。





あたしは無性に笑えてきてしまって、抑えられない。本当に、心の底から笑った。自分を。
どんなに会いたいと思っても、あたしはもう2度と彼とは会わないだろうなぁなんてことを薄らぼんやり考えながら、 あたしはこの間知り合ったばかりの男に電話した。










「今空いてる?」










何ででもいいからとりあえずあたしはこの隙間を埋めてしまいたい。










日記の小話のリサイクル。