骸さんがいなくなってしまってからみんな元気がない。
当たり前だ。
あの人の持っているエネルギーっていうのはとてつもなく強大で、あれがいいものなのかわるいものなのかあたしは見当も付かなかったけど、 今こうして、少なくともあたしたち4人は辛いと思っているのだから、きっといいものだったんだろう。
そういうことにしておく。










犬ちゃんがガムを買いに駄菓子屋に行ってしまったから、アジトはなんだか静か。
だからなのかあたしはなんだかとても落ち着かない気分だ。





「千種。」



「何。」



「髑髏ちゃんは?」



「知らない。」





そうかぁー、残念だなぁー……。とあたしが呟くと、千種はあっそ。とだけ言ってソファーに埋もれた。更に毛布までかぶった。





「(まぁいいや。きっとその内戻ってくる。)」





ふらふらと、どっかに行っても、必ず彼女はここに戻ってくる。
彼女も3人と同じように家……というか居場所がないのだろうか……?
どんなに犬ちゃんに邪険に扱われても、夜になれば部屋の端っこの方で麦チョコを片手にイタリア語の勉強をしている。



家族という居場所があるあたしが彼らにシンパシーを感じるのはおこがましいけれど、 今こうしてみんなといれることをあたしは嬉しく思っている。 あれ?なんか筋が通っていない気がする。まぁいいや。とにかくそういうことなのだ。
骸さんがいないことは哀しいけれど、きっとあの人なら戻ってくるし、あたしもいつまでも待つ。





「千種。」



「……何。」



「あたし、寂しいんだけど。」



「……。」



「犬ちゃんも髑髏ちゃんもいないし……それに骸さんも。」



「……。」





千種は毛布の中で少しもぞもぞと動いたけれども、押し黙ったままだった。





「千種。あたし、寂しいんだけど。」



「……。あのさ……。」



「何?」



「めんどいならいいけどこっちに来れば?」










その距離がもどかしい