「綱吉君綱吉君。」



「えっ……何?」





ちょっと引き気味で沢田はあたしの方を見た。
何だよ。今の間は。はっきり言えよ。お前今のきもいって。
何突然そんなに仲良くもないオレのことを『綱吉君』なんて呼ぶんだよ。 お前いつもオレのこと『沢田』か『ダメツナ』って呼んでるじゃないか云々……。
ってさ。





「いや、別に特に何てことはないんだけどさ。」



「じゃあ呼ぶなよ。」



「いや、まぁ沢田最近変わったなぁー……って、」





思ったからさ。って言ったら沢田は「そ、そうかなぁ?」と言って目を逸らした。
目線の先には獄寺と山本がいた。
うん。少なくともあいつらみたいな奴と絡むような奴じゃなかったはず。 どっちかっていうと陰キャラ?っていうの? 教室の隅の方でくだらないゲームの話だとかしてるような奴らと話すようなイメージ。
まっ、実際の所沢田の場合はそこにすら入れなかったわけだけど……。





「まぁ今の沢田も前の沢田も変わってない所、あたし知ってるけどね。」





はぁ?と沢田は頭に疑問符を乗っけた。





「いやいや、いいじゃないか綱吉君。それよりも山本と獄寺待ってるけどいいの?行かなくてさ。」





あっ、いけね!と言うと沢田はバイバイ。と言って走って廊下に出て行った。










まだ誰も知らない










「沢田綱吉君。君は誰よりも1番優しいってことあたしは知ってるから。」










まだ見ぬ恋心。